福音派牧師が代表をつとめる非政府団体(NGO)「人権問題全国事務局(Senah)」を介し、アストラゼネカ社のコロナワクチン購入で不正な契約を結んでいたとされる米国ダヴァティ社の伯国CEOクリスチアーノ・カルヴァーリョ氏が、ボルソナロ大統領と3月13日に直接ワクチン交渉を行おうとしていた疑惑が12日に浮上している。大統領は11日にSenah代表のアミルトン・ゴメス・デ・パウラ牧師と3月8日に交渉を行っていた疑惑が出てきたばかりだった。13日付現地サイトが報じている。
今回の疑惑は、13日夜に放送されたグローボ局のニュース番組「ジョルナル・ナシオナル」の報道で明らかになった。疑惑の源は、12日に浮上した疑惑同様、ダヴァティの伯国販売員ルイス・パウロ・ドミンゲッティ氏の携帯電話の通信記録によるものだ。
それによると、ドミンゲッティ氏は3月13日に、クリスチアーノ氏に「大統領に会う日程を決めよう」とメッセージを送った。これに対し、クリスチアーノ氏が音声メッセージで、「今日か明日、あるいは火曜(16日)までのいずれかになるのか、確かめてほしい。航空便の変更とホテルの予約の必要があるから」と返した。
それからしばらくしてドミンゲッティ氏は、「関係者が言うには、大統領と面会の場合、月曜(15日)、火曜、水曜(17日)となるそうだ。それが公式の面会日となるからだが、関係者は非公式な特別面会を望んでいる」との音声メッセージを返した。
またしばらくして、今度はクリスチアーノ氏が、「明日(14日)、大統領が福音派のリーダーたちとの朝食会を行うとアミルトン牧師が言っている。そこで会うのはどうだろう?」とドミンゲッティ氏に提案した。だが、この日の夜になりクリスチアーノ氏が「アミルトン牧師が待っているようにと言ったのに、今になってもまだ朝食会があるか否かを伝えてこない」と不満そうに語っている。
なお、福音派のリーダーたちと大統領の会合は15日の16時から18時に行なわれている。この日の出席者リストにはアミルトン牧師の名前は記されていない。
だが、この日の17時、ドミンゲッティ氏がアマウリと名乗るアミウトン牧師の側近と連絡を取り、「01との会合はうまくいったか」と尋ねたところ、アマウリ氏が「今まさに、01と会っているところだ」と返したことも記録されている。「01」は大統領を示す暗号と報道されている。
以前も報じられたドミンゲッティ氏の携帯電話のメッセージでは、15日に同氏が「これで貧乏生活ともおさらばだ」、翌16日に通話相手のレナト氏なる人物がドミンゲッティ氏に、「アミルトン牧師と大統領が昨日、話をした。大統領が全て買うと言っている」と発言したことが報じられている。
13日付G1サイトは、ドミンゲッティ氏は3月16日にアミルトン牧師と連絡を取り、進捗状態を確かめたことと、アミルトン牧師が、「昨日、ゴーサインを出す立場の人物(quem manda)と会った。万事、うまく行っている」と返答したことを報じている。
一方、13日付CNNブラジルはクリスチアーノ氏がワクチン契約について語り、「3月23日にエドゥアルド・パズエロ保健相とナンバー2のエルシオ・フランコ氏が解任されたことで頓挫してしまった」と語っていたことを報じている。クリスチアーノ氏は今日15日、上院CPIで証言する予定だ。