サンパウロ州の自然人登録者協会(Arpen―SP)によると、今年の1~6月の死者は25万人弱で史上最多となり、出生者は例年を12%下回って、両者の差が最小となったと7日付G1サイトなどが報じた。
Arpenは登記所に届出のあった出生、死亡、婚姻をリアルタイムで集計しており、新型コロナのパンデミックによる影響も数字となって表れてくる。
Arpenが集計した死者の数は24万8624人で、例年の平均を84%も上回る。単純に計算すると例年の平均は13万5122人となり、保健省の統計による同州の新型コロナ感染症による死者の8万964人を加えても前述の数字にはならない。
だが、新型コロナ感染症の後遺症による死や、感染を恐れたりして持病の治療を受けられず、死亡した例なども含めた死者の増加は否めず、新型コロナが全体の数字を押し上げたといえる。
他方、パンデミックのために妊娠、出産を恐れる人が増えた事などもあり、1~6月の出生数は過去最少の27万7019人だった。
出生や死亡から登記所への登録や登録内容の集計までには日数がかかる(許容日数がある)ため、死者数や出生数は多少変わる可能性がある。だが、1~6月に死者増加と出生者減少という傾向が見られた事自体が変わる可能性はない。
他方、予防接種が進んでいる事などもあり、5月、6月の新型コロナによる死者は1万5183人と1万6307人で、4月の2万1539人より減少しており、4月のような爆発的な感染者や死者の増加が起きない限り、4月第1週にブラジル南東部などで起きた、死者数が出生数を上回る事態は回避できそうだ。
なお、新型コロナの死者だけに限定すると、1月のサンパウロ州での死者6317人は全国の死者2万9555人の21・4%に相当したが、6月の死者1万6307人は全国の死者5万5275人の29・5%と、その割合が増している。
サンパウロ州の人口はブラジル全体の21・9%なのに、6月の死者は全国の死者の29・5%にあたる事や、1~6月の死者12万7681人が全国の累計の51万8066人の24・6%を占めている事は少し気がかりだが、州保健局は「現在の感染者や入院患者、死者がいずれも減少傾向にある事の方が大切だ」と語っている。
★2021年4月14日《ブラジル南東部》死者数が出生数を超える?=4月初週に3地域で初事象発生
★2021年5月7日《リオ州》4月は3度目の人口減少月に=パンデミックで様相に変化
★2021年2月2日《サンパウロ市》コロナ禍で出生数が減少=総人口すら減少する可能性も