15日、上院のコロナ禍の議会調査委員会(CPI)に米国ダヴァティ社のブラジル責任者、クリスチアーノ・カルヴァーリョ氏が召喚され、証言を行った。保健省の承認の元で、福音派牧師が代表をつとめる非政府団体を介し、アストラゼネカ社のコロナワクチンの不正契約を行った疑いのあるダヴァティ社だが、クリスチアーノ氏は「保健省での賄賂交渉はマルセロ・ブランコ大佐のグループから始まっている」などの証言を行った。同日付現地サイトが報じている。
クリスチアーノ氏のことは、CPIが押収し、情報開示を求めたダヴァティ社の販売員であるルイス・パウロ・ドミンゲッティ氏の携帯電話の通信内容が公開されはじめて以来、ボルソナロ大統領の不正契約関与疑惑なども示唆する内容の交信相手として浮上していた。このため、同氏による証言は、召喚前から注目度が高まっていた。
クリスチアーノ氏は今回の証言で、ドミンゲッティ氏はダヴァティに籍を置く販売員ではなく、「連邦政府の要望によって頼まれた人物」であると主張した。アストラゼネカ社はダヴァティ社を含む民間企業をワクチン販売の仲介業者として認めていない。
クリスチアーノ氏はさらに、非政府団体の人権問題全国事務局(Senah)との交渉はドミンゲッティ氏が同氏に紹介したものであり、ドミンゲッティ氏との仕事もそれがはじめてだったという。Senahとの交渉に関しては、ドミンゲッティ氏が保健省の関係者とのメールなどを見せたことによって興味を持ったという。
クリスチアーノ氏によると、保健省に出向いて会議を行ったのは2月12日が最初で、そのとき、保健省ナンバー2のエウシオ・フランコ大佐やSenah代表のアミルトン・ゴメス・ダ・パウラ氏などが席についたことを認めた。
クリスチアーノ氏が2月のはじめまで保健省とは直接のつながりをもっていなかったことや、ドミンゲッティ氏やアミルトン氏が保健省との仲介役で会ったことはCPIでははじめて知られた事実で、レナン・カリェイロス報告官も驚いた様子を見せていた。
クリスチアーノ氏はさらに、保健省のロジスティック部とのワクチン交渉について語った。この件は、ドミンゲッティ氏が6月29日に、同部主任のロベルト・ジアス氏が1回分につき1ドルの賄賂を請求したとフォーリャ紙に暴露したことで、一気に問題化したものだ。
クリスチアーノ氏はこの交渉に関して、「2月3日にジアス氏から直接連絡をもらって進めたものだ」と、ロジスティック部の依頼ではじまったものだと語った。ジアス氏はCPIでの証言でこれを否定していた。
クリスチアーノ氏はジアス氏との連絡はいつも業務上のことだったとした後、「保健省での賄賂の依頼は、マルセロ・ブランコ大佐絡みのグループから始まったものだ」との告発も行った。ブランコ氏はジアス氏の部下で、公式には今年1月に解雇されたことになっているが、クリスチアーノ氏によると、「それ以降もずっと働いていた」という。
クリスチアーノ氏は今回の証言で、昨年中はブラジル政府からの緊急支援金の支給を受けていたことも認めた。ダヴァティ社の米国CEOのエルマン・カルデナス氏も、15日付フォーリャ紙で、同社はワクチンをもっておらず、あくまで「仲介交渉企業である」と語るなど、企業の実態に関する不信感が高まっている。