仕事の終わりに鳥のコラソン(心臓)が無性に食べたくなったオーリャ子は、閉店間際の肉屋に飛び込んだ。既に店員は売り物の肉を片付け始めている中、「鳥の心臓あるか?」と聞いた所、袋詰めの冷凍コラソン1キロを持ってきた。
さすがに独り身で1キロは多すぎ、解凍も面倒だったので「300グラムだけ欲しかったので今日はやめとくよ」と断ると、店員は「少しまっとけ」と店の奥へ。
「なんだ、生のもあったのか…」と思いながら待つと、鋭い機械音が店奥から聞こえた。まさかと思っていたら、満面の笑みを浮かべた店員が肉スライサーですっぱり切った300グラムの冷凍コラソンを持ってきた。
サービス精神旺盛なブラジル人の笑顔に圧倒され、断る術もなく購入。その日のコラソンは、どこかいつもより美味しい味だった。(淀)