新型コロナウイルスの予防接種が進む中、ブラジルでデルタ株(インド株)感染者が急速に増え、懸念が広がっている。
デルタ株への感染が確認された人は、16日朝の時点で13人と報じられていたが、同日午後のリオ市で3人目の患者確認との報道後、あっという間に増え、18日夜には97人になった。
リオ市の3人目の患者は72歳の女性で、風邪のような症状が出たが、デルタ株感染が確認された時は既に回復していた。同市保健局は感染経路などを把握できていない。また、同市の感染者は同日中に7人に増えた。
同市とリオ州の同株感染者は翌日も急増し、17日には国立コンピューター・サイエンス研究所(LNCC)が、解析した380件の検体中63例(16・57%)がデルタ株だったと発表。
他の研究所が解析した分を含めた17日現在の同州のデルタ株感染者は12市74人に増えた。内23人はリオ市在住だ。同州では約800件/月の検体を解析している。
デルタ株感染者が出た市はセロペディカとサンジョアン・デ・メリチ、リオの3市と、イタボライ、イタグアイ、ジェペリ、ドゥッケ・デ・カシアス、マリカー、メスキッタ、ニテロイ、ノバ・イグアス、ケイマードスの9市だ。
同州の感染者の大半はガンマ株(マナウス株)で、アルファ株(英国株)や昨年11月に発見された変異株P2による感染も続いている。
18日現在のデルタ株感染者は、リオ州74人とマラニョン州6人、パラナ州9人、サンパウロ州3人、ペルナンブコ州2人、ゴイアス州2人、ミナス州1人の計97人。死者はマラニョン州1人、パラナ州4人の計5人だ。
ミナス州連邦大学(UFMG)のレナン・ペドラ教授は、英国などの例から、デルタ株はワクチン接種を済ませた人でも感染を起こす可能性が高いとした上で、予防接種は重症化を防ぐ事が確認されているが、感染や他者への感染を防ぐかは科学的に実証されていないと警告。感染防止対策の継続が必要と説いた。
こういった事情も考慮し、国家衛生監督庁(Anvis)はアストラゼネカのワクチンに関し、3度目の接種による抗体補強効果に関する治験実施を承認した。また、サンパウロ州保健局のジェアン・ゴリンシュテイン局長は19日、来年以降毎年、新型コロナのワクチンを接種する意向を表明した。
また、アストラゼネカとファイザーのワクチンの接種間隔を8~10週にする州も出ているが、保健省やサンパウロ州は12週の方針を維持している。
なお、18日現在の全国のコロナ感染者は1937万6574人で7日平均の感染者は4万948人、死者は54万2214人で7日平均は1246人となっている。
11~17日(感染学上第28週)の新規感染者27万3445人は前週比で16・4%減、死者の8373人は10・0%減だが、17日はサンパウロ州の数字が更新されておらず、実際の減少率はもう少し減る。同週は3州で感染者、7州で死者が増えたが、コパ・アメリカ開催の4連邦自治体では第27~28週に感染者や死者が増えている。
リオ州では感染者が27週に3・8%、28週に15・9%、死者は28週に3・1%増えた。
★2021年7月13日《ブラジル》コパ・アメリカで新変異株流入=コロンビアからのB1.621
★2021年7月7日《サンパウロ市》ついにデルタ株の市中感染?=リオ州でも感染者確認=致死率高く、再感染が容易
★2021年6月30日《ブラジル》国内のデルタ株死者2人目=感染状況さらに悪化の可能性も
★2021年7月8日《ブラジル》ペルー由来の変異株に要注意=国内で3人の感染を確認=WHOが南米での流行警戒