6月に行われた大統領選の当選者がペドロ・カスティジョ氏に確定した、とペルーの選挙委員会は19日に宣言した。史上稀に見る大接戦の末に、同国に急進左派の大統領が誕生することになった。20日付現地紙が報じている。
2018年から20年にかけて、3人の大統領が辞任や罷免にあうなど不安定な政情が続いていたペルーの大統領選は4月の一次投票から大混戦だった。急進左派政党、自由ペルーを率いるペドロ・カスティジョ氏と、現在服役中のアルベルト・フジモリ氏の長女で、保守政党「人民勢力」を率い、2011年大統領選で次点だったケイコ・フジモリ氏が、それぞれ、18%台、13%台の低い得票率ながら決選投票に進んでいた。
6月6日に行われた決選投票は投票日前から大接戦が予想され、当日の出口調査ではケイコ氏が僅差で上回って勝利する予想が出ていた。
開票開始後も、当初はケイコ氏がリードしていたが、農村部に強いカスティジョ氏が追い上げ、開票率が90%を超えたところで逆転。ケイコ氏がカスティジョ氏の選挙不正を訴え、20万票分の不正を訴えていたことから、開票に時間がかかったが、6月15日に得票率50・125%のカスティジョ氏が、わずか4万4058票差で勝利した。
しかし、「20万票の不正」を主張し、ケイコ氏が抗議していたため、選挙委員会は確認作業を継続。その結果、不正は見つからず、1カ月以上かかってカスティジョ氏の当選が確定した。ケイコ氏も19日、「結果を受け入れる」と宣言した。
カスティジョ氏は1969年生まれの51歳で、2017年に教員ストライキを率いて有名になるまでは農村部で小学校の教員をしていた。これまでに選挙の当選経験はなかった。
カスティジョ氏は新自由主義の保守派経済を嫌う急進マルクス主義者だが、同時に、同性愛結婚や中絶に反対することなどを訴えたことから、急進左派と保守派の両方から支持を得る形となった。カスティジョ氏は早くも、中国との結びつきの強化を主張している。
カスティジョ氏の就任式は28日となる。