ラヴァ・ジャット作戦(LJ)班が以前、イスラエル企業とスパイウェア「ペガサス」を含むシステム導入の交渉を行っていた疑惑が明らかになった。この疑惑を明らかにしたのはルーラ元大統領の弁護団で、彼らはルーラ氏らに対する盗聴行為を行うことが目的ではなかったかと最高裁に訴えている。26日付現地サイトが報じている。
今回の疑惑は、26日にルーラ元大統領の弁護チーム、クリスチアーノ・ザニン・マルチンス氏とヴァレスカ・テイシェイラ・マルチンス氏が最高裁に訴えた際に提出した資料で明らかになったもの。
その資料では、LJ捜査班がペガサスを扱っているイスラエル企業との交渉を行おうとしていた様子が示されている。これらの様子は、連邦警察によるスプーフィング作戦で押収されたハッカーによるLJ関係者盗聴の記録で明らかになったものだという。
また、今回の報道を行ったサイトUOLはルーラ氏の弁護団が最高裁に提出していない部分を独自入手しているが、そこにはLJ班とイスラエルの企業との間で交わされたより具体的な交渉内容が示されているという。
イスラエルのNSOグループは、スパイウェア「ペガサス」を世界の国や法執行機関などに販売している。民間ソフトとしては最強と言われ、標的となる人物のスマホなどに潜入して通話やメール、位置情報や連絡先、カレンダーに至るまでの個人データを収集し、監視することが可能になる。
この問題を報じた18日付ワシントン・ポスト紙によると、世界50カ国以上で1千人以上がこれによってすでに監視されている。司法機関が購入すること自体は違法ではないが、使い方次第では問題になる。
これに先立つ5月には、ボルソナロ大統領次男のカルロス氏がこの諜報システム購買に動いていたことも報じられている。
ルーラ氏の弁護団が証拠としてあげているもののひとつは、2018年1月31日にLJのクリチーバ班とリオ班が行ったグループでのチャットだ。そこでは、ジュリオ・カルロス・モッタ・ノローニャ捜査官が、「今日、LJのリオ班がイスラエルの企業と捜査が格段に進歩する技術についての話をした」と切り出した。その技術とは「携帯電話にリアルタイムで侵入できる技術」で、「先方はこれで多くの問題が解決すると言っている」と同捜査官は続けている。
同捜査官は、この技術を使うと携帯電話の持ち主の所在地なども即座に把握できると説明した上で、経費の問題などがあるが、先方の企業の販売員が来ることになっているから、興味があれば、自分の携帯電話を持って参加するよう呼びかけた。
LJクリチーバ班のメンバーは強い関心を示したが、パウロなる人物が「しかし道義的な問題はないのか」と疑問を呈す様子も記録されていた。
ノローニャ氏はさらに2018年3月から19年1月の際に仲介となったNSOという企業とメールで技術の購買の交渉を行っているが、同氏が交渉していたのがペガサスであることが、その後の調べで明らかになったという。
ルーラ氏の弁護団は、2017年11月23日の交信で、LJ班クリチーバ主任のデルタン・ダラグノル氏の右腕だったロベルソン・ポゼボン氏が、ダラグノル氏のオフィスに「我々にとってのバンカーをつくろう」と話していたことも問題視している。「このバンカーとは、イスラエルの有名なスパイ企業のセレブライトのような、サイバネティックなスパイ用ソフトウエアや、検察庁のメンバーのオフィスで『ビッグデータ』を作成できるような別のシステムの取得が含まれている」と、弁護団は指摘している。