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JICA=医療保健支援でイタウと融資契約=コロナ禍の民間病院等強化図る=最大で1億5千万米ドル供与

 独立行政法人国際協力機構(JICA)はブラジルの病院や医療機器・製薬企業のコロナ禍への供給力強化を図る協力として、6月18日にイタウ・ウニバンコ銀行と最大1億5千万米ドル(約164億円)を供与する融資契約を調印し、7月中に1回目の融資貸付が実行された。
 同行が展開する保健医療セクター向け融資のうち、特に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるSUS対応の民間病院やブラジル内に生産拠点を置く医療機器や製薬企業向の融資を支援するというもの。
 ブラジルは誰でも医療が受けられる統一保健医療システム(SUS)により、低所得者層も無料で医療を受ける事ができる整備を整えている。一方で、予算不足により公的病院は人材や資機材の環境が不充分といった課題も抱える。
 そのため、民間医療機関がSUS患者を受け入れて医療サービスを支えてきた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大により一般外来や手術、通院を控える人が増えて多くの民間病院は苦しい経営を強いられているという現状にある。
 また、ブラジル内の医療関連物資の多くは輸入品頼りで、医薬品は30%、医療機器に至っては50%が輸入品となっており依存が高い。その中で世界的に医療物資の需要が高騰し、輸入が難しい状況となった。
 一方で、医療物資に関連する製造企業も増産能力拡張が追い付かない状況が重なり、現場で使用するマスクや防護服、抗体検査キットから、人工呼吸器等の物資不足が深刻化していった。
 JICAはこれまで日系病院を中心に資金援助を行ってきた。同融資事業では、ブラジル内の状況を鑑みた上で広範囲の医療機関への対応力強化の図るため、保健医療セクター向の融資に豊富な実績を持つ大手金融機関であるイタウ・ウニバンコ銀行への融資となった。
 これまでJICAは、伯国内で持続可能目標「SDGs(エスディージーズ)」に貢献する企業に対して他開発金融機関や民間商業銀行と共同で融資してきたが、今回は初の単独融資となる。
 また、世界でのコロナ感染拡大に対し命を救うための協力をすべく始動した「JICA世界保健医療イニシアティブ」に合致する初の海外投融資事業でもある。