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《ブラジル》ノゲイラ入閣でボルソナロPP入党か=懸案の所属政党もようやく決定?=早くも漏れる党内部からの不満の声

ノゲイラ氏とボルソナロ氏(Twitter)

 中道勢力セントロン最大政党の進歩党(PP)党首のシロ・ノゲイラ氏が官房長官に就任することは、現時点でまだ所属政党も決まっていないボルソナロ大統領にとっての2022年の大統領選への戦略でもあると、28日付現地紙などが報じている。
 ノゲイラ氏の官房長官就任の理由として最も大きいのは、上院でのコロナ禍の議会調査委員会(CPI)など、反大統領派の方が強く、コロナワクチン不正契約疑惑などで大荒れとなっている上院のアルチクラソン(政局調整)を、ノゲイラ氏に任せたいとの意向だ。ノゲイラ氏は官房長官に就任するまで、同CPIの連邦政府側のリーダー格委員だった、
 だが、もう一方で、今回のノゲイラ氏入閣をボルソナロ氏の大統領選への戦略ではないかと見る向きも少なくない。
 それは、ボルソナロ大統領の所属政党がまだ決まっていないからだ。大統領は2019年11月に所属政党の社会自由党(PSL)を飛び出し、新党「アリアンサ・プロ・ブラジル」の結党に動いた。だが、党設立に必要な約50万人の署名が集まらず、現時点で22年の大統領選には間に合わないことが明らかになったため、既成の所属政党を探していた。
 その間、共和者(RP)、ブラジル労働党(PTB)などが候補にあがったが、まとまらなかった。6月には長男フラヴィオ上議の移籍先のパトリオッタに決まりかかったが、これも、同党内部での反対者の意向が強く、たち消えとなった。

 そこで浮上したのがPPの存在だ。もともとボルソナロ氏は2005〜16年の11年間、そこに在籍した経験があり、いわば古巣だ。また、同党は下院第3位の党であるため、PPに加入すれば、大統領選の際の政党資金やテレビ・ラジオでのキャンペーンの放送時間も長く持てるという利点も生じる。
 加えて、ノゲイラ氏がピアウイ州、同党所属のアルトゥール・リラ下院議長がアラゴアス州と、PPが北東部に強いこともボルソナロ氏には有利になる。それは、ボルソナロ氏の支持率が北東部で弱いのに対し、大統領選で最大のライバルとなることが予想されるルーラ元大統領にとっては、圧倒的な支持を集める票田地域となっているからだ。
 ただ、ボルソナロ氏のPP入りには早くも党員の不安と反発が語られている。同党の下議たちの一部は、ヴェージャ誌に「現在、90%の右派支持者たちはボルソナロ氏とは違う選択肢を求めている」と語っている。またCNNブラジルに対して、「ボルソナロ氏が党の実権を握るようになることを恐れている」と語った党関係者もいる。
 PP内で意見が分かれていることは、ノゲイラ氏を官房長官にとの話が出始めたときからずっと、報じられている。
 また、熱心なボルソナロ氏の支持者で知られるPTB党首のロベルト・ジェフェルソン氏は、コーロル大統領時代に上議から官房長官に就任したジョルジェ・ボルンハウゼン氏とノゲイラ氏を比較し、「あの時もボルンハウゼン氏にアルチクラソンを任そうとして命取りになった」と、大統領罷免への不安を口にしている。