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《ブラジル》3度目の南極下ろし直撃!=各種農産物への被害は甚大=価格上昇、回復に1年以上か

一夜の霜で緑から茶色に豹変したコーヒー園(サントアントニオ・ダ・アレグリア市での被害に関する­26日付G1サイトの記事の一部)

 28日~8月1日はこの冬3度目の寒波が到来し、南部や南東部、中西部に至る広範囲の農家に新たな被害回避のための戦いが求められていると28日付現地サイトなどが報じた。
 今年の南極下ろしは6月末以降、降雪や降霜を伴う厳しい寒波として繰り返し到来。南部や南東部などで甚大な被害が出ている。霜焼けなどが起きた作物は棉やサトウキビ、トウモロコシ、コーヒー、葉野菜など多岐にわたる。
 サンパウロ州サントアントニオ・ダ・アレグリアでは19~20日の寒波で500万レアルに及ぶ被害が出たとされており、23日に6カ月間の非常事態宣言が出た。
 ジャノアリオ・アランテス氏は、1994年以来という大規模な霜で58ヘクタールのコーヒー園が全滅。15万俵と見込まれた来年の収穫はゼロとなり、先物取引の形の売買契約も破棄する必要が生じた。同氏によると、今回程の大規模な被害を取り戻すには4年はかかる。農産物そのものの被害の他にも、失業者の増加や農作物の収穫減少で生じる家計への影響が懸念されている。
 コーヒーやバナナ、サトウキビ栽培農家のエジガル・ミゲル・デ・ソウザ氏も同様だ。同氏は雨季に入る9月を待ち、11月にサトウキビを植える予定だが、カシャッサ(蒸留酒)を造るためのサトウキビを収穫できるのは15カ月後だ。
 この地域では昨年は干ばつの被害が出ており、収穫の半分を失った人もいた上に、1カ月で3度目となる寒波で被害が拡大している。

 20日の寒波はミナス州でも大きな被害を引き起こし、パトロシニオ市が26日に非常事態を宣言した。同市でも同日は過去27年間で最も厳しい降霜を見、耳や尻尾が凍る牛も出た。20日の気温は3度だったが、今回も同程度の冷え込みと降霜が予想されている。
 ミナス州イタジュバーでは果物栽培地の70%に被害が出たが、事前に袋をかぶせた農家1軒はバナナへの被害を逃れ得た。関係者によれば、果樹が再び実を結ぶまでには最低14カ月かかる。
 降霜被害は南部3州でも甚大で、パラナ州のコーヒー農家は若い苗木を地中に埋めて守る事にした。葉野菜は早めに収穫して低温貯蔵室に保管するか、ビニールシートをかけて濡れる事や凍結を防ぎ、被害を最小限に抑える工夫が必要だ。
 被害の規模や様相は大気中の湿度などでも変わる。作物中の水分が凍ると細胞壁が壊れたり脱水症状を起こしたりして全体を損ない得る。葉だけが凍った場合も光合成の力が落ち、成長が鈍る。
 1年生の野菜の被害は直接の影響が短期間で済むが、果物やコーヒーなどに及んだ被害は影響が長引く。食肉加工業者の中には飼料用のトウモロコシをアルゼンチンから輸入するところもあり、寒波の影響は生産経費や消費者価格にも及ぶ。
 29日は南部3州とサンパウロ州、マット・グロッソ・ド・スル州の州都で市内平均の最低温度が5度以下、サンタカタリーナ州では零下8度台の市も出るなど厳しい寒さとなった。南部3州ではみぞれや雪も降っている。