11日、下院で選挙法改正のための憲法補足法案(PEC)が可決されたが、かねてから議員の間で強い反対が起こっていた、政党より候補者個人の得票を優先する「ディストリトン」は法案から外された。逆に政党連立(コリガソン)による当選者の振り分けは承認された。12日付現地紙が報じている。
選挙法改正のためのPECは、レナタ・アブレウ下議(ポデモス)を報告官として審議され、原案本文は339票対123票で承認された。
だが、その後の修正動議の審議では、9日の特別委員会では承認されていたディストリトンに関する条項が否決された。ディストリトンを外すことに関する投票もこの日に行われ、423票対35票の圧倒的な大差で承認されていた。
ディストリトンとは、「各選挙区で、個人票を多く獲得した候補のみが当選する」というシステムだ。これは「時代遅れの投票システム」としてかねてから批判の対象となっていた。
現行、ブラジルでは、下議選や州議選、市議選に「比例代表制」を採用している。この方式では、有権者は政党名か候補者のどちらかを選ぶことになっており、政党もしくは各候補者が所属する政党の得票数を集計した後、その選挙区における政党支持の比率によって当選者を振り分けていくシステムとなっている。
ディストリトンを採用した場合に問題となるのは、「事前から知名度の高い有名人の候補が圧倒的に有利になる」ことだ。そうした個人候補がいると、その地区の住民の政党支持率が実際に選ばれる候補の比率に反映されなくなる(結びつかなくなる)からだ。
ディストリトンは過去にも下院で審議にかけられているが、2007年、2015年に、それぞれ、全体投票で却下されている。
ディストリトンをPECから外させたことは、とりわけ野党側にとって、10日の下院本会議での「印刷付き投票」(ヴォト・インプレッソ)却下につぐ勝利だと解釈されている。
その一方で、2017年に廃止されていたコリガソンを2022年から復活させる案は、333票対149票で1回目の承認を得た。2回目の投票でも308票以上を獲得すると、正式に下院で承認されることとなる。
コリガソンは小規模政党に対する救済策ともいえるもので、大型政党と連立した政党にも当選者が振り分けられる。
ここ数年は、コリガソンがなくなったことで小政党が不利になり、当選者が減ったために満足な政党支援金が与えられなくなって、運営が苦しくなるなどの問題も報じられていた。
選挙法改正PECの投票は12日にも続けて行われた。この日は「2024年からは決選投票を廃止する」という法案に関する投票が行われ、36票対388票の圧倒的大差で却下された。この法案では、決選投票を廃止する代わりに、1回の投票につき、候補者名を5人まで書くことができるとしていた。