サンパウロ州リメイラ市で6日、隣接する市から買い物に来た黒人の男性が、値段を見ただけで何も買わずに店を出ようとしたところ、警備員に呼び止められた上、「商品を盗んだだろう」と問い詰められたため、泣きながらパンツのみの全裸となり、ポケットの中身も床にばら撒いて無実を証明するという事件が起きた。
9日付G1サイトなどによると、窃盗の嫌疑をかけられたのは、イラセマポリス市に住む金属工のルイス・カルロス・ダ・シルヴァ氏(56)だ。同氏はリメイラ市にある卸小売「アサイー・アタカディスタ」の店舗に入り、商品価格を調べたものの、買うのは見合わせ、レジを通らずに店を出ようとした。
ところが、レジを通らずに出て行こうとするのを見た警備員2人が同氏を呼びとめ、「店の品を隠し持っているだろう」と言い始めた。店の片隅に連れて行かれ、警備員達から「何も盗んでないのなら、服を脱いで何も持っていない事を示せ」と言われた。
同氏はシャツやズボンを脱いで、パンツだけになった上、所持品を全部床にばら撒いてみせた。
シルヴァ氏が警備員達に捕まり、服を脱ぎ始める様子や、興奮して泣き始め、「何か買うつもりで来たのに泥棒呼ばわりされた!」と怒鳴る様子を別の顧客が映したビデオはネットに上げられ全国に流れた。
店員になだめられ、服や所持品を身につけ直したシルヴァ氏はその後、人種差別によって甚大な被害を受けたとして、警察に被害届を出した。
事件後にメディアの取材に応じたシルヴァ氏は、「忘れ難い出来事」という表現で屈辱的な経験について語り、実名を出す事も認めた。
アサイー側はシルヴァ氏に謝罪すると共に、再発防止のために厳重な内部調査を始め、警備員も更迭した。同件に関しては、サンパウロ州検察局も10日、9日に捜査を開始したと発表した。