12日、上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)は、下院の連邦政府リーダーのリカルド・バロス下議(進歩党・PP)を招いて行われた。インドのコロナワクチン「コバクシン」の不正契約を促したとの疑いが持たれているバロス氏は参考人として語ったが、委員たちと罵りあいになり、大荒れとなった。12、13日付現地紙、サイトが報じている。
バロス氏の存在が注目され始めたのは、6月25日に行われたCPIで証言を行ったルイス・ミランダ下議(民主党・DEM)が、コバクシン疑惑の陰で動いているのがバロス氏だと暴露したためだ。ミランダ氏によると、兄弟のルイス・リカルド氏が勤めている保健省のロジスティック課で相場の10倍もの価格(4千回分で16億レアル)でのコバクシンの契約締結が強要されたことを、3月20日にボルソナロ大統領に伝えた際、大統領自身の口から「その件はバロス氏のものだろう」と言われたという。
このミランダ氏の暴露以来、大統領は今日に至るまで、この発言を否定していない。また、コバクシンの契約仲介にあたったパラナ州の企業「プレシーザ・メジカメントス」は、バロス氏がパラナ州マリンガの市長だった時代から関係があり、同氏がテメル政権の保健相を務めた時代に不正が指摘されていた企業であったことからも疑惑が深まっていた。
12日、バロス氏は一貫して、CPIの委員たちに対して挑発的な態度を貫いた。バロス氏は「ここまでここに呼ばれた多くの人たちがリンチにあってきた」「私もこれまで私のイメージを大きく汚されてきた」と挑発。レナン・カリェイロス報告官(民主運動・MDB)やウンベルト・コスタ委員(労働者党・PT)などと言い争いとなった。
さらには「このCPIはコバクシン契約を曲解しただけでなく、私のことも曲解した。このCPIこそが連邦政府のワクチン交渉を遅らせているのだ」「このCPIのせいで外国企業がブラジルへワクチンを売ることから手を引いている」と食ってかかった。これに関して、オマール・アジス委員長(社会民主党・PSD)は、「中国の企業が興味を持ってくれている」とバロス氏に反論してなだめた。
この日の質疑応答は、バロス氏の攻撃的な態度のせいで荒れ、証言打ち切りで幕を閉じたため、コバクシン疑惑の解明は進まなかった。コスタ委員は終了後、CNNブラジルに対し、「バロス氏は攻撃するためだけにやってきた」と不満を口にした。この経験をもとに、CPIは、今回のような「招待者」ではなく、「証言者」としてバロス氏を召喚することを決めている。
CPIは強気の姿勢を崩しておらず、軍の難色を振り切ってヴァルテル・ブラガ・ネット国防相を召喚することや、薬効も証明されていない薬剤を推奨し、国民への健康被害を大きくした容疑でボルソナロ大統領を起訴する方向で動いている。