タリバンがアフガニスタンを制圧して政権を奪ったことで生じうる、ブラジルとの関係変化や国際経済に対する影響に関して、17日付現地紙などが報じている。
ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)によると、タリバンによるアフガニスタン制圧による、ブラジルの貿易における直接的な影響は少ないという。
ブラジルがこれまで同国と強い通商関係にあったわけではないためだ。また、タリバンが政権を奪ったことにより、大量に発生すると予想される移民に関しても、アフガニスタンの国民の家計の現状を考えると、彼らが向かうのは距離の近い欧州であり、航路に多額の金が必要となるブラジルに流れ込むことは考えにくい。
ただ、中国政府がタリバン政権の支持を表明して国際経済に緊張が走ったことで、16日にサンパウロ証券取引所(Ibovespa)の指数が1・66%と、過去3カ月間で最大の下落を示すなどの影響は出ている。
こうなった理由のひとつは、中国に対する反感が強まることで中国製品の売買が減速する恐れがあることだ。この場合、中国が世界有数の貿易相手とするブラジルには不利になる。もうひとつの理由は、中東情勢が不安定となることで、この先の原油価格の行方が不透明になるためだ。
なお、ブラジル外務省は16日、アフガニスタンにはブラジル人の居住者や渡航者の登録が1人もいないと発表した。
同国はここ20年間、米軍が駐留してタリバンの台頭を抑制する必要が生ずるなど、不安定な状況が続いていた。それに加え、ブラジルは同国に総領事館を置いておらず、同国に関する情報は隣国にあるパキスタンの総領事館から得ていた。
だが、ブラジルにもアフガニスタン人は、数は少ないながらも存在する。その中のひとりで2015年に留学し、ミナス・ジェライス連邦大学に通っているサイエド・アブドゥル・ラーマン・ハシミさん(30)はグローボ局の取材に対し、「カブールの家族とは連絡が取れたが非常に心配だ」と心情を語っている。
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