新型コロナのワクチン接種が進み、国全体の7日間平均の新規感染者数は3万人前後、死者数も800人台に減っている。だがデルタ株の感染中心地のリオ市では、パエス市長が感染拡大が加速していると警告を発したと20日付伯字サイトが報じた。
パエス氏の発言は20日朝、第33回感染病理報告書を公表した際に出たものだ。同報告書によれば、感染学上の第32週(8~14日)の新規感染者は今年最多を記録し、市内全域が「感染拡大の危険度が高い」と評価されている。
同市長は新規感染者が今年最多で、感染のピークといえる事を「かつてない程感染者が増えた」と言い換え、デルタ株による急激な感染拡大が起きているとの警告を発した。隣人や親族、友人などが感染したという人は多いはずで「自分の周囲でもこれ程多数の感染者がいるのは初めて」と言葉をつないだ。
同市の新規感染者は少なくとも半数以上がデルタ株感染者だ。新規感染者が今年最多という数字には、デルタ株の感染力が強く、感染速度が増している事が表れている。
ただし、感染者は増えているが重症例や死者は減っている事も明らかにし、集中治療室の病床を増やすなどの措置をとる方針も明示した。
パエス氏は、重症例や死者の減少傾向継続はワクチン接種が進んでいる結果との見解も示し、寒い時期は感染が起き易いから、積極的にワクチン接種に参加するよう、市民にも求めた。
専門家は同市での新規感染者増加は同市が規制緩和を行った事が原因と指摘しており、パエス氏も感染状況が悪化し、重症例や死者が増えるような事があれば、規制強化もあり得ると語った。
オズワルド・クルス財団(Fiocruz)によると、現状で増加傾向にあるのはリオ州のみだが、専門家は、リオ市同様にデルタ株感染が増えているサンパウロ市についても、サンパウロ州政府の規制緩和(実質解除)により、9月第2週以降、デルタ株の感染爆発が起こり得ると警告している。
17日現在のデルタ株感染者は7日間で84・3%増の1051人だが、これは検体解析で判明した数のみで、実際はもっと多い事や今後も増える事は明白だ。
だがボルソナロ大統領は19日、連邦政府はやるべき事以上の事をやっており、「新型コロナの終息は近い」と発言。大統領は昨年来、同じ発言を繰り返しているが、具体的な対策を示すどころか、マスク不着用でバイクのデモ行進実施など、感染拡大につながるような事ばかり行っている。