独立記念日の7日は、全国各地で親大統領派と反大統領派のデモが行われ、連邦直轄区(DF)では前夜から検問をすり抜けたトラックが三権広場を目指すなど、物々しい雰囲気が漂った。6日には、「最初の敗北者は(安全確保と胸を張った後、トラック侵入を許した)DF知事」といった報道も流れたほどだ。
7日のマニフェスタソンでは、このところの世論調査で支持率ががた落ちし、政権評価も極度に落ちたボルソナロ大統領が、いつも同様に威嚇的、攻撃的な言葉と態度でまくし立て、支持者達が拍手と歓声で応えるという図式にも、独りよがりの強がりという印象が残った。
根回しもせず、大統領の諮問機関的な意味を持つ「国家審議会」開催を勝手に宣言し、アレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事の命令への不服従といった言葉が飛び出すに至っては開いた口が塞がらなかった。参加資格がない最高裁長官も審議会に出席するかの言い方や、三権独立を無視した「自分が憲法」的な言動は、コラム子には、支持者の心を繋ぎとめようとあがいているとしか思えないのだ。
吊り輪のメダリストのザネッチは、東京五輪の体操個人の決勝でトップとの差を埋めるため、大技をかけたが、着地に失敗して下位に甘んじた。現在の大統領は、来年の大統領選まで持ちこたえる事さえ危うい中で逆転劇を狙い、失敗したとの印象が残る。
デモの結果が出るのは今後だが、国内外の反応を見る限り、大統領には否定的なものが多い。「民主主義を守れ」という声や最高裁判事の言葉も聴かないなら、議会の声も聞かなくなる。そんな大統領の言葉を誰が聴くのかという声も強いし、経済への悪影響も懸念される。
日本の菅首相は現役首相が自民党総裁選で負ける事態回避を勧められて出馬を断念したとの報道もあるが、ボルソナロ氏にはそのような進言を行う人はいない(いても受け入れない)ようだ。
大統領による脅迫のような演説を受けて7日に語られた、ルイス・バローゾ選挙高裁長官の言葉「ブラジルや民主主義への愛は我々を一つにする」に頷く一方、マスクも着けずに密を作る人達の姿を見て、「(昨年のデモや選挙の後同様)新型コロナの感染者が増えるな~」と思ったのはコラム子だけか。
7日の夜にネットの記事で見た「今回のデモの勝者はデルタ株」との言葉に、心から賛同してしまった。(み)