ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》コロナ禍CPI=重要人物2人の強制連行許可=バロス氏の友人の契約仲介者=大統領一家と懇意のロビイスト=コバクシン契約疑惑のカギ握る

《ブラジル》コロナ禍CPI=重要人物2人の強制連行許可=バロス氏の友人の契約仲介者=大統領一家と懇意のロビイスト=コバクシン契約疑惑のカギ握る

CPIで証言をするマルコス・トレンチーノ氏(Pedro França/Agência Senado)

 ブラジリア連邦地裁は13日、上院のコロナ禍CPIでの証言が最も待たれている捜査対象者のうちの2人、マルコス・トレンチーノ氏とマルコニー・アルベルナス・ファリアス氏がCPIに出頭しなかった場合に、警官を派遣して強制連行後、供述させることを認める判断を下した。両者共にインドのコロナワクチン「コバクシン」の不正契約に関与した疑いがある。また、マルコニー氏はボルソナロ大統領一家との親密な関係も注目されている。14日付現地紙、サイトが報じている。
 ブラジリア連邦地裁のフランシスコ・コデヴィラ判事から強制連行・供述の許可が出たトレンチーノ氏は、保健省がパラナ州マリンガに拠点を置くプレシーザ・メジカメントスを介して、市場相場の10倍以上の額でコバクシンの契約を行おうとした際、架空企業「FIBバンク」として保証企業の形で参加した疑いが持たれている。同氏はFIBバンクの隠れ共同経営者とされ、この契約の保証金として8070万レアルを提示していた。
 トレンチーノ氏はさらに、このコバクシン契約の黒幕と目されている下院の連邦政府リーダーでかつてのマリンガ市長、元保健相でもあるリカルド・バロス氏と古くからの友人関係にあったと見られている。テレビ局REDEのソシオであるトレンチーノ氏は以前、同局の番組にバロス氏をレギュラー出演させていた。
 トレンチーノ氏は病院への入院などを理由に、CPIへの出頭をこれまで拒んできた。すでに同氏は最高裁のカルメン・ルシア判事から黙秘権の許可を得ていたが、CPIへの欠席は同判事から却下されていた。
 トレンチーノ氏は14日にCPIで証言を行った。

CPIの様子(Pedro França/Agência Senado)

 一方、マルコニー氏に対する強制連行・供述許可は、ブラジリア連邦地裁のポリアナ・ケリー・アウヴェス判事から出たものだ。マルコニー氏は、コバクシンの契約にロビイストとして深く関与した疑惑が持たれている。
 マルコニー氏はこの疑惑に加え、ボルソナロ大統領四男のレナン氏、同氏の母親でボルソナロ氏の前妻のアナ・クリスチーナ氏、ボルソナロ氏の担当弁護士のカリーナ・クファ氏とかなり親密な関係であることがワッツアップの記録で判明している。
 マルコニー氏はまだ22歳のレナン氏の起業を手伝っており、100回を超える通話記録が残っている。アナ・クリスチーナ氏とは、権限がないはずの彼女に、連邦政府の人事の相談を持ちかけた記録も残っている。クファ氏とはお互いの家を行き来するほどの間柄で、ジェットスキーやシュラスコなどを共に行っている様子がワッツアップ内で明らかになっている。
 マルコニー氏の出頭は15日に予定されている。16日には、プレシーザ社理事のダニーロ・トレント氏も召喚されている。CPIは、キット・コロナと呼ばれる医薬品で人体実験を行った疑いがもたれているプレヴェンチ・セニオル事務局長のペドロ・バチスタ・ジュニオル氏の召喚も検討している。
 コロナ禍CPIは今月29日までの定だが、ルイス・ミランダ下議が暴露した、コバクシン疑惑でのバロス氏の黒幕説とボルソナロ大統領の黙認疑惑は最大の焦点となりそうだ。
 なお、CPIの報告官のレナン・カリェイロス上議は14日、CPIの最終報告書が出た時点で、アルトゥール・リラ下院議長がボルソナロ大統領の罷免要請の審理に応じるか否かを決めるまでの期限を明確に示すことを望んでいることを明らかにした。同上議は23日に、大統領は罷免に値する責任法違反を犯したという結論に至る最終報告書の原案を提出すると見られている。