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《ブラジル》保健相が米国で陽性反応=大統領ら訪米団も隔離へ=英首相、国連総長との会談にも同席

ケイロガ保健相(Wilson Dias/Agencia Brasil)

 ボルソナロ大統領が国連総会で開会演説を行った21日、マルセロ・ケイロガ保健相に新型コロナの陽性反応が出た。保健相は現地隔離中で、大統領を含むブラジル訪米団は帰国後、隔離勧告を受けたと21~22日付ブラジル国内サイトが報じた。
 ケイロガ氏は19日に大統領や他の閣僚と共に米国に到着。夜は大統領らと共に軽食をとりに出た。また、20日はボリス・ジョンソン英国首相との会談に同伴後、他のメンバーと共にブラジル国連大使官邸に赴いた。
 その後、現地のブラジル人達の抗議行動に遭い、車中で中指を立てて見せ、抗議行動参加者を威嚇した事や、ワクチンが足りない国へのワクチン提供の可能性を示した事も話題となったが、最大の話題はやはり、新型コロナへの感染確認だ。
 陽性反応確認は、総会会場を後にして帰国準備を行っていた最中だ。ブラジル訪米団は、現地で事前準備をしていたメンバーの1人からも陽性反応が出た事やボルソナロ氏が予防接種を受けていない事で、ホテルなどでも他国の人達とは別の一角で食事を取る必要があった。だが、総会会場には特例扱いで入場していた。
 それだけに参加国関係者の間には保健相の感染確認の報で緊張が走り、国際紙もこぞって報道。ジョンソン英国首相が保健相と挨拶を交わす写真など、同氏と接触した可能性のある人物の特定作業に関するものと、国家衛生監督庁(Anvisa)が訪米団のメンバーに隔離を勧告した事などに、22日朝のニュースは割かれた。

 帰国した訪米団の一行は隔離勧告に従う事を決め、大統領府はボルソナロ大統領も5日間の自己隔離をすると発表し、24日に予定されていたパラナ州訪問をキャンセルした。
 現地に残った外交官達も、総会中の集会出席や他国関係者との接触を禁じられている。ケイロガ氏は予防接種を終えており、軽症で、滞在中のホテルで隔離を開始。感染判明後は「1日も早い公務復帰に務める」とした。
 米国での同氏は、20日にブラジル総領事館で投資家らと朝食後、ボルソナロ氏と共にジョンソン首相と会談し、ミシェレ大統領夫人とも会った。21日はボルソナロ氏と共にポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領や国連事務総長と会談後、総会に。汎米保健機関の会合にも出た後、9・11記念博物館を訪問した。
 陽性反応が出たのが21日だから、感染は米国への出立前だった可能性が高い。同相は16日、保健省関係者と基礎疾患のない青少年への予防接種中止勧告に関する会見を行った後、大統領のライブに同席している。
 ケイロガ氏の隔離期間中はロドリゴ・クルス副大臣が職務を代行する。上院コロナ禍議会調査委員会(CPI)は3度目の保健相召喚を望んでいるが、米国で隔離に入ってしまったため、召喚の可否や日程は未定だ。

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 ニューヨークの国連総会での演説の評判が国際的に散々だったボルソナロ大統領。だが、この滞在で批判されたのは演説だけでない。
 夕食会に参加すれば待ち構えた抗議集団からヤジを飛ばされ、大統領三男のエドゥアルド下議に至ってはアップルストアでの買い物中に野次られた。
 また、米国滞在中もワクチン接種を受けていないことを終始批判された大統領だが、毎日のように側近がコロナに感染したことが報じられ、21日夜には遂には帯同していたケイロガ保健相まで感染するありさま。
 ワクチンも打っていないのにわざわざニューヨークまで行って、政治内容以前に言動ばかりで笑い者になるとは。これでは信用回復にはまだまだ時間がかかりそうだ。

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