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《ブラジル》コロナ禍CPI国庫庁長官召喚で大荒れ=テベチ上議と批判の応酬=バクシン疑惑を指摘され=苛立ち隠せない連邦政府

21日のCPI(Leopoldo Silva/Agência Senado)

 21日の上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)で国庫庁(CGU)のヴァギネル・ロザリオ長官とシモーネ・テベチ上議(民主運動・MDB)が口論となったことで、審議が紛糾する事態が生じた。テベチ上議はコバクシン不正疑惑に対するCGUの態度を批判していた。21、22日付現地紙、サイトが報じている。
 今回の騒動の発端はテベチ上議がロザリオ長官に、連邦政府のコバクシン契約、さらにボルソナロ大統領に対する態度が「甘い」と批判したことだ。ロザリオ長官の召喚は、昨年10月にCGUや連警によるプレシーザ社ロビイスト、マルコニー・アルベルナス・デ・ファリア氏宅の家宅捜査で、同氏が保健省輸送部門の責任者だったロベルト・ジアス氏の助けを得て不正入札を行おうとしたことなどを示すメッセージなども残る携帯電話などを押収していたのに、疑惑を追求していなかったことなどが指摘されて決まったものだ。
 同上議は「CGUは誰かを弁護するために作られたわけではない」「連邦政府の弁護士役になるべきではない」として同長官を責め、「私たちは不正を制御する立場の機関を持ち、不正が起こらないようにすべきだ」と主張した。
 テベチ上議はさらに、コバクシン契約に際し、CGUが虚偽の書類を使った疑惑も指摘した。同上議によると、コバクシンの契約に関しては三つのインボイスが存在するが、契約書では触れられていなかった4500万ドルの現金がシンガポールの企業に前払いで払われることになっていたものだけが本物だという。この疑惑はCPIが現在捜査中の案件でもある。
 これに対しロザリオ氏は、「あなたの発言は尊重する」としながらも、「だが、もう一度内容を読み直していただきたい。事実でないこともかなり話している」と言い返した。

 この発言にテベチ上議は怒り、「私が間違ったことを話したというなら受け入れるが、私に命じるのは筋違いだ」とし、「聞き分けのない子供のような振る舞いはやめていただきたい」と声を荒げて返した。ロザリオ氏はテベチ氏の発言を聞かず、「攻撃もしていないのに、聞き分けのない子供だと。あなたは完全に自制心を失い、私を攻撃している」とまくし立て続けた。
 すると、ロザリオ氏の態度に立腹した傍聴席の上議たちから「マシスタ(男性優位主義者)」との罵声が次々と沸き起こり、場内が騒然となった。事態は混乱し、一時はロザリオ氏がテベチ氏の座席まで詰め寄る光景まで見られたため、この騒ぎを受け、オマール・アジス委員長はロザリオ氏の証言を打ち切り、委員会の審議を中止した。
 テベチ氏は6月にルイス・ミランダ下議の証言でコバクシン疑惑の黒幕がリカルド・バロス下議であることを引き出すなど、今CPIでの手腕で注目度をあげ、MDBの大統領候補に浮上している人物でもある。
 この騒動の後、アジス委員長はレナン・カリェイロス報告官にロザリオ氏を捜査対象に加えるよう命じている。
 22日には、ヒドロキシクロロキンなど、早期治療キットに含まれる医薬品の無許可治験で7人の死亡を隠ぺいしていた疑惑で揺れている大手医療保険会社「プレベンチ・セニオル」の代表が証言を行うなど、コロナ禍CPIが連邦政府を苛立たせる緊迫した状況が続いている。