中銀の通貨政策委員会(Copom)が22日、全会一致で経済基本金利(Selic)を1%ポイント(P)引き上げ、年6・25%とする事を決めたと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
Selic引き上げは前回会議後に予告されていたもので、引き上げ幅も予告通りだった。Selicは、経済活動が低下または停滞している時は引き下げられ、インフレが高進している時は引き上げられる。
現在のブラジルは食料品や燃料、電気代の値上がりによるインフレ高進が続いており、一部の市場関係者は今回1・25%Pの引き上げもあり得ると見ていたが、最終的には中銀が事前に予告していた1%Pの引き上げとなった。
今年に入ってからのSelic引き上げは、3~6月が0・75%P、8月と今回は1%Pで、今回決まった6・25%は2019年7月の6・5%に次ぐ高率だ。
Selicが連続して引き上げられる状態は、2015年7月から2016年10月にも起き、年14・25%まで引き上げられた。
だが、その後は徐々に引き下げられ、2018年3月には年6・5%まで低下。2019年8月からは再度の引き下げが始まり、新型コロナのパンデミックで経済活動が落ち込んだ昨年8月には年2%まで低下した。
今回会議の議事録発表はまだだが、現在のインフレは12カ月の累積で9・68%という高率で、政府のインフレ目標の3・75%はおろか、上限の5・25%も大幅に上回っている。
中銀のインフレ報告書は6月以降、更新されていないが、同時点で予測されていた今年のインフレは5・82%だった。
中銀はインフレを政府目標の上限値以内に抑える責任を負っており、そのための切り札がSelicなのだが、市場では既に、次回の会議でも引き上げは避けられないと見ている。
ただ、Selicの引き上げは銀行などからの融資の返済金利引き上げなどにも繋がるため、経済活動や生産活動を活性化するための融資の利用が差し控えられる可能性が一段と高まった。
中銀が最後のインフレ報告書で提示した今年度の経済成長率の見込みは4・6%、市場関係者の予測は5・04%だが、今回ならびに今後の引き上げで成長率が下がる可能性もある。