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《ブラジル》AZワクチンの不足再び=IFAの国内生産前進も=裁判所も接種証明提示要請

AZワクチンの生産、検査施設(Bio-Manguinhos/Fiocruz)

 新規感染者に占めるデルタ株感染者が95%を超え、新型コロナの予防接種の進展を目指しているサンパウロ市で27日、アストラゼネカ社製(AZ)ワクチンが尽き、529の接種会場中181会場でファイザー社製ワクチンによる2度目の接種が行われたと同日付現地サイトが報じた。
 AZワクチンの不足は今月初旬にも起き、サンパウロ市全域で同社製ワクチンが底を突いたため、2度目の接種者にはファイザー社製ワクチンの使用を認め、窮状を乗り越えた。保健省は2度目の接種用ワクチンを初回接種用に使ったからだと釈明したが、同様の問題は他の自治体でも起き、ワクチンの供給停止が原因だった事が明らかになった。
 この時は、中国からの有効成分(IFA)が届いてオズワルド・クルス財団(Fiocruz)がワクチン生産を再開した事で、全国での在庫不足は次第に解消した。
 だが、サンパウロ市では25日から、AZワクチンが底を突く会場が出始め、27日には3分の1に及んだ。28日は不足会場がさらに増えている。
 このような状況はIFAを輸入に頼っている状態に起因しているため、いつになったらIFAの国内生産が始まるのかという疑問も生じた。連邦政府は最初から、IFAを国内生産するための技術移転も含めた契約をアストラゼネカ社と結んでいたためだ。

 AZワクチンのIFA生産に関する情報はやはり27日に流れた。それは、Fiocruzが事前検証用のIFAのロット(lote)の生産を終え、傘下の免疫生物学研究所(Bioマンギーニョス)で品質検査を行うというものだ。同研究所では既に、9月初旬にできた国内初のIFAの検査を始めている。
 Fiocruzは事前検証用IFAの第2、第3ロットの生産を続けており、AZワクチンと同等の品質である事が確認され、国家衛生監督庁(Anvisa)の承認を受ければ、実際の接種用ワクチンの生産に取り掛かる。国内生産のIFAを使ったワクチンの納品は、第4四半期中に始まる見込みだ。
 20~23日に行われた調査によると、市内の施設やイベントへの入場時や公務員などに新型コロナの予防接種証明書(ワクチンパスポート)の提示を求める自治体は2461市中249市(約10%)に上る。
 割合が高いのは北部の20・7%、低いのは南東部の6・6%だ。また、サンパウロ州地裁のように、入場者に最低1回のワクチン接種を受けた事を証明する書類提示を義務付ける機関も出始めている。