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サンパウロ州政府=ブラジル日系画家の巨匠若林展=8日からアートギャラリーで

作品の前に立つ若林さん

作品の前に立つ若林さん

 サンパウロ州文化創造経済局は「WAKABAYASHI, MESTRE DA PINTURA NIPO-BRASILEIRA(ブラジル日系画家の巨匠・若林)」展を10月8日から22日まで聖市内のアートギャラリーEspaço Arte M. Mizhari(Rua Peixoto Gomide, 1757)で開催する。
 若林和男さんはこの5月1日で90歳、画業では80周年を迎える記念として今展覧会が企画され、27点が展示される。入場にはオンラインを介したイベント開催プラットフォームSympla((https://www.sympla.com.br/wakabayashi-mestre-da-pintura-nipo-brasileira__1362136)から事前予約が可能。入場料は無料。
 キュレーターを務めるエノック・サクラメント氏は、「彼は日系ブラジル人絵画界きっての技術を有する巨匠で、最高の表現者です」と評価する。同氏の作品は複雑な工程を要するため、完成までに数カ月かかることもあり、精巧な技術と強烈な詩的表現の融合が特徴だという。
 作品を年代別に見て行くと、1960年代に制作された抽象絵画は、一つ岩が土中から立ち上がる「地層」を想像させる作品群が特徴だ。サクラメント氏はカタログの中で「モノリス(一枚岩)」と表現している。

コマを題材に取り入れた作品

コマを題材に取り入れた作品

 その後10年は素材やレリーフの研究に力を入れ、厚手の質感を持つ単色の作品制作へ取り組む70年代後半を経て、日本の伝統的な文化要素を取り入れた作風へと変遷する。この日本文化を取り入れた一連の作品の中には手毬、歌舞伎、かんざし、折鶴、コマなどの題材をシリーズで描いている。
 若林さんは1961年に当時30歳頃に「あめりか丸」でサントス港に着伯。サンパウロ・ビエンナーレに2度出展していた津高和一(つたか・わいち)さんから、間部学さんと大竹富江さん宛ての紹介状を一筆もらい、2氏との交流と共にブラジル美術界に足を踏み入れた。
 体調を崩して絵の制作を断念した2年前以前の20年間のうちに、「Bananeiras」と「Parreiras」という作品群に取り組んでいた。
 会場となるアートギャラリー「Espaço Arte M. Mizhari」の開館時間は月曜日から金曜日は午前10時に開館、午後7時閉館。土曜日は午前10時の開館で午後3時に閉館。同展問合わせはワッツアップ(11・94105・8499)まで。