ブラジル日本都道府県人会連合会(県連、市川利雄会長)とブラジル日本語センター(CBLJ、日下野良武理事長)は「日本語スピーチコンテスト・県費留学発表会」を9月26日13時からオンラインと対面によるハイブリット開催した。Aクラス優勝はジェフェルソン・フェレイラ・デ・カストロさん、Bクラスはペドロ・エンリケ・マルチニオンさん、Cクラスはナシメント・ラモス・ミザエルさんだった。
N2程度以上の日本語能力を有するAクラス部門では「笑いの力」を発表したジェフェルソン・フェレイラ・デ・カストロさん(21歳、リオ州)が1位に輝いた。家庭の事情で9歳~16歳まで母と離れて暮していたジェフェルソンさん。再会した時の経験から「悲しい人をみると笑わせたくなるように」なった話を発表した。
ジェフェルソンさんにメールで取材すると、「正直言ってびっくり。なぜかというと、とてもシンプルな内容だったから。今でもどうしてだろうと思います」と驚いた様子を見せる。スピーチの内容は、日本語の先輩から「あなたはいつも笑っているのでそのことについて話しては」と言われ、それに従った。
ジェフェルソンさんが日本語をはじめたのは約2年半前から。ブラジル世界救世教の研修生で創始者の岡田茂吉師の言葉を理解したくて勉強を始めたという。「いずれは日本に住んでみたい、岡田師の言葉を全部理解したい」と展望を語る。
今回はサンパウロ市外からも多く応募があった。発表者30人中非日系が18人おり、特にAクラス発表の6人中5人が非日系人と活躍がめざましい。
審査員には吉川真由美エジナさん、在聖総領事館の小堤明日香(おづつみ・あすか)領事、松本乃里子(まつもと・のりこ)さん、松平史寿子(まつだいら・しづこ)さん、川合昭さんが審査員を務めた。スピーチ内容や日本語発音、聴衆を意識した話し方かなどを基準に審査が行われた。
吉川審査委員長は「誰が優賞してもおかしくない。審査が難しくとても悩みました。どの発表も流ちょうで、聴衆を意識した喋りやジェスチャーもレベルが高かった」と評した。
Cクラスの結果発表では2年前から日本語を習い始めたというナシメント・ラモス・ミザエルさんの「日本語と私」が1位に選ばれた。2位には「忘れられない出来事」を発表したブレンダ・イラナ・イダリノ・デ・バロスさんが入賞した。
Bクラス1位には、7歳まで日本で過ごした時の思い出を語った「日本での7年間」を発表したぺドロ・エンリケ・マルチニオンさんが輝いた。
2位は「他の文化を知ることで自分の文化を再認識します」のルッカス・ナッシメント・シルバさん。3位は「我輩は日本語の学習者である」のリジア・ナイエ・リラ・コヘアさん、4位は「漢字」のアフォンソ・ラリサさん。
Aクラスは2位に「好奇心の力」を発表したステファニ・フルキン・テイシェラさんが入賞。
このほかに、弱視ながらパラナ連邦大学デザイン学士課程に入学した「視覚障碍者の見た夢」を発表したフランシェレ・アルビニ・フェレイラさんと、マイナーで過激ながら泥臭く生きた人間を描写した作品を紹介する「本懐」を発表した徳久たつまさんが審査員賞を受賞した。
県費留学生の発表では、辻明美フェルナンダ著(つじ・あけみ・ふぇるなんだ・ちょ)さん「人生の素晴らしい経験」、エベルリン・ファビオさん「富山と私」、サトウ・ジュリエ・ナオミさん「研修の経験」、森田まりえさん「私の留学けいけん」、ひろせ・タイス・かおりさん「長崎県技術研修」など日本で得た経験を発表した。
スピコンや県費留学の発表のほか、シェン・リベイロさんの尺八演奏や、赤堀雄三さんの三味線演奏なども行われた。
最後に県連の吉田章則(よしだ・あきのり)役員は閉会挨拶で、日本語学習者の日々の努力を称えると同時に、日本語教師達にも感謝を述べた。「日本語を学ぶモチベーションとして『日本に行きたい』というのもある。県費留学もその一つ。はやくコロナ禍が収まり、若者が日本に行く機会がふえてほしい」と願いを込めた。
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9月26日に開催されたスピーチコンテスト。日本語能力N5程度のCクラスは6人、N3~N4程度のBクラスは17人、N2程度のAクラスは6人が参加した。それぞれCクラス2~5分、Bクラス3~5分、Aクラス4~6分以内で好きなテーマを話す。特に参加人数の多いBクラスでは語彙力もグッと上がるためか「プレジデンテ・フィゲイレドの滝」や「環境保全」「自殺週間」など難しいテーマに取り組んだ人もいた。採点には聴衆意識度も入るため、表現方法に工夫を凝らした発表が多かった。日本語センターのユーチューブチャンネルに、大会の動画(https://www.youtube.com/watch?v=p0Zg9jg5-94)があるのでぜひ視聴してみては。