ボルソナロ大統領が12日夜、ジョーペン・パンと呼ばれるラジオ番組のインタビューに応じ、「ワクチン接種は受けない事にした」と語ったと13日付G1サイトなどが報じた。
ボルソナロ氏はこれまでも、ワクチン接種の義務化に反対し、新型コロナ感染症への効用が証明されていない早期治療用のKit Covidの使用を推奨。「接種を受けるなら、ブラジル国民全員が受けてから」と宣言していたが、今回は「受けないと決めた」とその内容が変化した。
同氏によると「自分はもう新型コロナに感染し、充分すぎるほど抗体を持っているから予防接種は不要だ」という。同氏の抗体検査の数値は991で、国連総会で米国を訪問した際も、同国で感染が確認されたケイロガ保健相に「接種を受けていない自分の方がよっぽど抗体が多い」と語っている。
だが、専門家は、ワクチン接種は自然に感染した場合よりも免疫効果が長く続く抗体を生じさせるため、既に感染した人も受けた方が良いと勧めている。
専門家は、予防接種は本人が感染したり重症化したりするのを防ぐだけでなく、周囲の人や社会全体に対する感染抑制効果があるとして、地域社会でのウイルス蔓延を防ぐには社会が一体となって接種を促進する事が必要だとも説いている。
ケイロガ保健相は14日、ボルソナロ氏の新宣言には深く触れようとせず、「ワクチン接種は新型コロナの感染拡大抑制の鍵」との考えを明らかにした。
リオ連邦大学の研究者やオズワルド・クルス財団(Fiocruz)の研究者は14日、リオ市カーニバルの特別委員会に、安全なカーニバル開催の条件はワクチン接種率が80%以上である事との見解を伝えている。
だが、同保健相は、ボルソナロ氏の要請でマスクの着用義務を解除する事を検討しているとして一部の専門家から批判されている。
マスク着用による感染予防効果は国内外の感染症の専門家などからも認められており、感染者や死者が減ってきた今もなお、着用義務を推奨する声が根強い。
14日付G1サイトでは、マスク着用を続けるべき理由として、新型コロナの感染は飛まつ感染が中心である事、閉鎖空間や人ごみの中では感染リスクが増す事、ワクチン接種は感染を予防するが完全には防げない事、新型コロナ後は後遺症が残り得る事、新たな変異株が出現する可能性がある事を挙げている。
パンデミック初期はアルコールジェルや石鹸を使った手指の消毒や物の表面の消毒が強調されたが、現在、接触感染は飛まつ感染に比べて僅かである事が明らかにされている。ただし、この事はアルコールや石鹸を使った消毒などの重要性を否定するものではない。