ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》コロナ禍CPI最終報告の予定を延期=委員間での意見揃わず=大統領の責任等で、26日承認へ=長男なども含め起訴請求へ

《ブラジル》コロナ禍CPI最終報告の予定を延期=委員間での意見揃わず=大統領の責任等で、26日承認へ=長男なども含め起訴請求へ

アジズ委員長(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 上院のコロナ禍の議会調査委員会(CPI)が17日、最終報告の発表を延期することを明らかにした。ボルソナロ大統領に対する起訴請求の内容などが事前に漏れたことで委員の間で意見が割れ、調整が必要となったためとみられている。17、18日付現地紙、サイトが報じている。
 最終報告の提出と読み上げは当初19日に予定されていたが、17日にオマール・アジス委員長(社会民主党・PSD)が最終報告の提出は20日とするなどの日程変更を発表した。
 同委員長によると、レナン・カリェイロス報告官(民主運動・MDB)が事前に受けた取材に応じて語った内容などに対し、上院議員の間で、ボルソナロ大統領への起訴請求のあり方や内容に関して強い反対の声があがったという。
 起訴要請の対象にはボルソナロ氏のみならず、その家族やパズエロ元保健相なども含まれており、60人前後になる見込みとされている。
 「起訴の求め方や、要求する罪状に関して、もう少し固める必要がある」と、ウンベルト・コスタ委員(労働者党・PT)も委員間で意見が割れていることを認めている。
 意見が割れているのは、連邦政府側の上議とではなく、通称「G7」と呼ばれる、同CPIにおいて多数派を占める「野党・中立組」の中においてだ。
 レナン上議はすでに報道陣に対して、11の罪状でボルソナロ大統領への起訴要求を行う意向を表明しているが、その中のひとつの「先住民の大量の死をもたらした責任」に関しては起訴をする必要があるのかで意見が割れている。
 大統領長男のフラヴィオ上議を起訴要請の対象に含めるか否かでも反対意見がある。レナン上議の見解では、フラヴィオ氏は、インドのコロナワクチン「コバクシン」の不正契約を仲介しようとした企業「プレシーザ・メジカメントス」の社長を社会経済開発銀行(BNDES)に紹介した事実が浮上したことを指摘し、不正契約への関与を疑っている。
 レナン氏はフラヴィオ氏と大統領次男カルロス氏、三男エドゥアルド下議を、コロナウイルスに関するフェイクニュース拡散の役目を担ったとして、起訴要請する意向だとみられている。

 アジス委員長は16日、レナン氏がG7との意見のすりあわせさえせずに、メディアに報告書の内容を明かしたことに不満を表明。これを受け、レナン氏はこの週末、G7のメンバーらと個別に話し合い、報告書の内容を調整することにした。レナン氏はこの時点で、「報告書は個人的な意見や見解をまとめたものではなく、委員会としてのもの」との姿勢を表明している。
 こうした委員間での見解の相違などはあるもの、委員たちの間では少なくとも八つの罪状に関しては起訴を要請することで意見が一致しているといい、大統領にとって厳しいものになることに変わりはなさそうだ。
 この報告で特に注目されているのは、ルイス・ミランダ下議が訴えた、下院の政府リーダー、リカルド・バロス下議(進歩党・PP)が指揮したとされるコバクシン不正契約や、米国企業ダヴァティが訴えた保健省によるコロナワクチン1回分につき1ドルの贈収賄工作などの疑惑に関してだ。
 18日のCPIでは、新型コロナによって親や伴侶、子供や兄弟などを失った、直接・間接の被害者たちの証言を聞いた。遺族たちは家族や親族を失うまでの経緯や胸の痛み、病院は患者でいっぱいだったことなどを赤裸々に語るとともに、大統領が医師や科学者たちの見解に反する行動を繰り返してきたことへの批判なども行った。
 19日には、全国市保健局審議会(Conasems)テクニカルアドバイザーで、Kit Covidの使用に反対する意見を述べてきたブラジリア大学教授のエウトン・ダ・シウヴァ・シャーヴェス氏の召喚が行われる。
 CPIは当初、最終報告の提出と読み上げは19日で20日に承認の予定だったが、アジス委員長は報告書の提出と読み上げは20日で、承認は26日とすると、17日に発表した。レナン氏は同日、日程が延びればよりよい話し合いや読み込みができるとの見解を示した。