中央銀行通貨政策委員会(Copom)は27日、経済基本金利(Selic)を6・25%から7・75%へ、1・5%ポイント(P)引き上げた。27、28日付現地紙、サイトが報じている。
利上げ自体は前回会議の議事録などから、事前に予想されていたが、利上げ幅が予想より大きかった。その主要因はインフレの長期化の見通しが強まったことだ。ボルソナロ大統領が新社会保障プログラム「アウシリオ・ブラジル」の支給額の400レアルへの引き上げを強行しようとする圧力にパウロ・ゲデス経済相が屈し、歳出上限が破られることが決定的となった時点で、引き上げ率の幅が見直された。
市場ではそれまで、1・25%P引き上げて7・50%となると見ていたが、11月からアウシリオに移行と発表された後は、1・5%P引き上げとの見方が主流となっていた。
27日の会議では、8、9月のインフレ高進に加え、アウシリオの支給額引き上げと歳出上限を守るための法案改正などで財政支出が増すと見られていることで、インフレ圧力が増すことへの懸念から、前回会議時の予想を上回る1・5%Pの調整となった。
Selicの数値がここまで大きく動いたのは、2017年10月に8・25%から7・50%に落ちた時以来。1・5%Pも動いたのは、2002年12月に3%Pの上昇を記録して以来のこととなる。
この日の会議後の会見では、Selicが12月にさらに1・5%P上がる可能性も示唆されていたという。
この結果を受け、経済アナリストたちは、2022年はインフレと景気停滞が同時に起こる「スタグフレーション」に陥る可能性が大きいとの見方を示し始めている。
今回の結果を受け、28日の為替市場ではドル高が起き、14時現在で前日の終値の1ドル=5・5551レアルが5・6103レアルに上がっている。一時は5・6368レアルに達する勢いだった。