選挙高裁は28日、2018年におけるジャイール・ボルソナロ氏とアミウトン・モウロン氏のシャッパ(連名式名簿)の虚報大量拡散疑惑で、当選無効を問う訴えを受け付けるか否かを審理した。判事投票の結果、「無効にするには証拠不十分」で満場一致となり、訴えは却下され、大統領と副大統領の職責剥奪はなくなった。だがTSEは、「2022年の選挙では犯罪行為となりうる」と警鐘を鳴らした。28、29日付現地紙、サイトが報じている。
今回の訴えは2018年の大統領選で次点となったフェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)の連立支持政党が起こしたものだ。彼らは、同選挙でボルソナロ氏を支持する企業家らが故人などの納税者番号(CPF)を不正に利用して携帯電話をかきあつめた上、機械まで使って政敵に関する大量の虚報をワッツアップで拡散することで選挙を優位にしたと訴えていた。
この訴えに関してはすでに、選挙検察が14日に「最高裁のフェイクニュース捜査で得た証拠なども集めたが、18年大統領選挙の正当性を危うくするほどの違反行為にあたることを立証するだけのものが見当たらない」として、お蔵入りを勧めていた。
同件の審理は26日にはじまり、報告官のルイス・フェリペ・サロモン判事が選挙検察の意向を汲む形で、ボルソナロ氏のシャッパの当選を無効にすることに反対する判断を下した。この日は、マウロ・カンベル・マルケス、セルジオ・バーニョスの両判事がサロモン判事の見解に従う票を投じた時点で閉廷となった。
28日に再開された審理では、まずカルロス・ホルバック判事がサロモン判事に同意を示した。この時点で7票中、過半数の4票が無効化反対となり、同シャッパのシャッパ剥奪はなくなった。
さらに、最高裁判事3人(エジソン・ファキン、アレッシャンドレ・デ・モラエスの両判事とルイス・ロベルト・バローゾ長官)もこれに続き、7―0の満場一致で、同件のお蔵入りが決まった。
ボルソナロ氏のシャッパには今年2月、同じく18年の大統領候補だったシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)から出された別の虚報での訴訟の審理が行われたが、そのときも判事投票6―1の大差で却下となっていた。
だが、当選の無効化と職責剥奪は避けられたものの、18年選挙では違法な形で虚報の大量拡散が行われたことは、投票結果5―2と、大半の判事が認めた。
また、インターネットを使った虚報の大量拡散で特定の候補者が恩恵を被った場合は、政治力や経済力の乱用にあたることを明確にするための法律を定めることも討議され、6―1で承認された。
これを受け、22年から選挙高裁長官となるモラエス判事が、「18年はネット上の大量虚報拡散に世間が驚いた。今回は証拠不十分で免罪としたが、何が起き、何が起こりうるかは充分にわかった。22年からは政治力、経済力の乱用とみなされる」と語り、次の選挙からは通用しない手段であることを強調した。
なお、選挙高裁は28日、18年大統領選の当日に「電子投票でボルソナロ氏の投票を無効にするよう細工が仕掛けられている」との虚報を流したとの嫌疑で、パラナ州州議のフェルナンド・フランシスキーニ氏を判事投票6―1で罷免処分としている。