労働社会保障省が1日、新型コロナワクチンの接種を受けていない事を理由に労働者を解雇する事を禁ずる省令を出して、物議を醸していると1~3日付G1サイトなどが報じた。
オニキス・ロレンゾニ労働社会保障相の署名入りで出された省令は、1日付の連邦官報の号外版に掲載された。それによると、企業側は労働者との契約の際などにもワクチン接種の有無を採用条件とする事はできず、解雇の理由とする事もできないという。
これは、今年に入ってから起きた労働裁判で、ワクチン接種を拒否していた事を労働者解雇の正当な理由とした判例に反する内容で、労働裁判所や労働検察の見解と真っ向から対立している。
ワクチン接種完了をイベントなどに参加する際の条件としたり、公務員にはワクチン接種を義務付けたりする自治体も増えており、同省令に対しては官報掲載と同時に反発する声が起きている。
また、この省令は行政府が出したもので、立法府が出したものではない事などから、専門家は、「省令は法律ではなく、法律に反する内容を含んでいる場合は有効性を失う」「雇用主は安全かつ健康的な労働環境を整えなければならないという法律に反する内容で、違憲とさえ言える」と判断している。
弁護士のマウリシオ・ペぺ・デ・リオン氏はより具体的に、「もし、従業員の1人が感染し、他の従業員にうつした場合や、他の人が死亡した場合は企業側の責任が問われる。この省令は、企業内の安全性を犯す内容と言える」としている。
この省令はボルソナロ大統領の意向を汲んだものといえ、企業側や労働組合などからだけでなく、政界からも疑問や批判が噴出している。
一例は政党レデで、「連邦政府は憲法に反する道を選択した。法の下で定められた規制力の範囲を超えた行為である事は明確だ」として、3日に最高裁に赴き、省令撤回を求める訴えを起こしている。世界の流れに逆行するような連邦政府の動きに、風当たりが強まっている。
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