アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が2日に5~11歳児へのファイザー社製ワクチンの適用を勧める判断を下した事で、米国では3日から子供向けの接種が始まった。だが、ブラジルでは同年齢層の子供向けのワクチン接種承認を阻もうとする人物が国家衛生監督庁(Anvisa)に脅迫状を送りつける事件が発生と10月30日~11月3日付現地紙、サイトが報じた。
子供への新型コロナワクチンの接種は大人への接種がある程度進んだ国で始まっており、3日からは米国もそれに加わった。予防接種が新型コロナの感染拡大抑制に不可欠である事を認める国や自治体は、社会全体の免疫力を高め、子供を守るためにも、子供への接種を望んでいる。
一例はサンパウロ州で、コロナ対策の担当者達はAnvisaの許可が出次第、子供への接種を開始する意向を表明。ドリア知事も3日、チリやアルゼンチン、コロンビアでは始まっているとして、同監督庁に子供へのワクチン接種承認を願い出た。
これは、ファイザー社製ワクチンの子供への適用をアメリカ食品医薬品局(FDA)が推奨した翌日の10月27日、同社が11月中に同監督庁に申請する意向との声明を出した事を受けたものだ。だが、同監督庁は3日、子供へのワクチン使用許可申請はまだ受け取っていないと返答した。
だが、同監督庁が3日に明らかにしたのはそれだけではなかった。この10月29日に、子供へのワクチン接種を承認したら同監督庁の理事や職員、その家族にまで災いが及ぶという内容の脅迫状を受け取った事も明かした。脅迫者は同監督庁関係者やその家族の情報も公開するとし、「単なる脅迫ではない。約束だ」と記している。
同監督庁は10月29日にも、前日にパラナ州在住の男性から脅迫状を受け取った事を明らかにしていた。初回脅迫状は同監督庁理事5人とパラナ州教育局長、同保健局長宛で、「息子を治験に使ったら即座に学校を辞めさせる」「息子の命を危険にさらす奴らは残らず殺す」と記していたが、新たな脅迫状は対象が広がり、「子供や孫も逃れられない」としている。
ただ、ファイザー社製ワクチンは治験を終えて安全性を確認済みで、子供への使用も治験ではないため、脅迫状の文面は実情に合わない。
ブラジルではワクチン接種進展で感染者や死者が減り、学校での対面授業の全面解禁も進んでいる。ただ、12歳以上の生徒や教職員への接種は進んでも5~11歳児の接種が行えない事は懸念事項の一つで、父兄や生徒からも同年齢層への接種解禁を望む声が出ている。
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