ボルソナロ大統領が8日、所属政党を自由党(PL)にすることを「99%決めた」と発言した。同党は中道勢力「セントロン」のひとつで、党首のヴァルデミール・コスタ氏はメンサロン事件での収賄罪で実刑判決を受け、服役した人物だけに、汚職撲滅をうたってきたボルソナロ氏の主張と矛盾する結果となりそうだ。8、9日付現地紙、サイトが報じている。
この発言は、ボルソナロ氏がCNNブラジルの取材を受けて行ったものだ。ボルソナロ氏はこの際、10日に同党と最終交渉を行うことを認めたが、「決裂する可能性は0%だ」とも語っている。
大統領は8日夜も、大統領官邸前にいた支持者たちとの談話の中で同党に入る意思があることを認め、「今週中にも決まる予定だ」と話している。
ボルソナロ氏は2019年11月に新党「アリアンサ・ペロ・ブラジル」の結党を宣言し、当時所属していた社会自由党(PSL)を離党した。だが、党の承認に必要な署名を集める作業が遅々として進まず、22年の大統領選に間に合いそうにないことが判明したため、所属政党を選ぶ必要に迫られていた。
この過程で大統領は、共和者やパトリオッタなどに入党を断られ、狙いを自身の極右的な主張とは異なるセントロンに定めていた。
だが、進歩党(PP)かブラジル労働党(PTB)のどちらかになるとの予測とは異なる、PLという意外な結果となった。
ただ、PLのヴァルデミール・コスタ党首はかねてからボルソナロ氏のことを気に入っており、2018年の大統領選の際も、ボルソナロ氏の同党入りが噂されていたことがあった。
今回のPL入りには、オニキス・ロレンゾーニ労働社会保障相やエドゥアルド・ラモス・ルイス大統領府総務室長官の進言もあったという。
シロ・ノゲイラ官房長官の所属するPPは、党内に左派寄りの党員も少なくなく、同党の州支部の中には、ボルソナロ氏の入党に強く反対するところもあった。
PLはセントロンの中で下院議員数を増やしている党でもある。現在の下議数は43人で、全体3位だ。ボルソナロ氏は22年大統領選でPPの政治家を副候補に選びたい意向があるとされ、下議43人の同党が加われば、それなりに大きな勢力にはなる。
だが問題もある。PLは、ボルソナロ氏と大統領選での一騎打ちが予想されるルーラ元大統領の副大統領だったジョゼ・アレンカール氏が所属していた政党で、ヴァルデミール氏は2005年に発覚したメンサロン事件の裁判で、収賄容疑で7年10カ月の実刑判決を受けた。
同氏は、昼間の外出が可能なセミアベルトと自宅軟禁による服役中の2016年、大統領令による恩赦で残りの期間の罰を免除され、自由の身となっている。メンサロン事件や汚職はボルソナロ氏がかねてから糾弾してきたものだ。
加えて、一部のPL党員からのボルソナロ氏入党への反発も小さくない。マルセロ・ラモス下院副議長は8日、すでに離党をほのめかしている。
なお、8日付フォーリャによると、PLとPPの間では、ボルソナロ氏が所属する政党は同氏を大統領候補とし、もう一方は副大統領候補を出すという話も出ているという。また、ロレンゾニ労働相は、大統領が所属する政党がどちらになっても、PLに移籍する意向を表明しているという。
同紙によると、大統領がPLに移籍する可能性が高まったのは、ロレンゾニ氏や大統領支持派のビア・キシス下議(PSL)らが同党の方を好んだからのようだ。