サンパウロ市議会で10日、市公務員に対する社会保障制度改革に関する法案が審議され、11日未明に及んだ投票で2回目の承認が行われた。同市の公務員として働いた年金生活者たちの租税負担があがることにつながる法案に対しては現役・OBを問わず反発が強く、審議中の市議会の外では激しい抗議運動が行われた。11日付現地サイトが報じている。
リカルド・ヌーネス市長から出された法案では、月々の年金(または恩給)の額が最低賃金(1100レアル)を超える約6万3千人の定年退職者は、最低で14%、最高で22%の税金を払うよう規定している。現行法では、納税義務は6433レアル以上を受け取っている定年退職者のみに課されている。
これまでは、男性なら「納税期間が35年以上で60歳以上」、女性なら「納税期間が30年以上で55歳以上」だった定年退職の基準が、「男性は65歳以上、女性は62歳以上」に変更される。
この改正法案は10月14日に1回目の承認を得ていたが、現役・OBからの反発が大きく、2回目の投票の行方が早くから注目されていた。
同市には現役公務員が12万1千人、年金生活入りした定年退職者が11万3千人いる。市役所側は、市公務員の社会保障費は1710億レアルの累積赤字を抱えており、健全な財政状態を守るためには改革が必要だと説いた。
だが、この改革案に反対する市議たちは、この改革案はすでに低収入で困窮している人たちに損害を与えると反論した。
10日は、市議会内で与野党議員による激しい論争が繰り広げられただけでなく、市議会の外では改革に反対する現役・OBらが抗議行動を展開。市議会に卵や瓶などを投げつけた上、市議会前の通りでタイヤなどを焼いて通行を妨げるなどの暴力行為に出た。
このため、軍警と市警備隊がマスタードガスのスプレーや催涙ガス弾、ゴム弾を使って、抗議者を鎮める行動に出た。
審議には時間を要し、投票は未明に及んだが、賛成が規定の最低限の37票に達して、市条令の改定が承認された。反対は18票だった。
今回の改定案は、市長による裁可の必要はなく、承認後の官報掲載から20日後に発効となる。