民主社会党(PSDB)は22日、21日に専用アプリの不具合で中断した大統領選候補選出のための党内選挙に関し、「28日までに終わらせる」として、当初の予定通りに行うことを宣言した。だが、具体的な投票再開への過程などは明らかにしなかった。この騒動で接戦を演ずるジョアン・ドリア・サンパウロ州知事とエドゥアルド・レイテ・リオ・グランデ・ド・スル州知事の対立が激化。これらの影響で、同党の大統領選での威信回復が危ぶまれている。22、23日付現地紙、サイトが報じている。
ブルーノ・アラウージョ党首は22日、ドリア氏、レイテ氏、アルトゥール・ヴィルジリオ氏の3候補と話し合いを行ったが、「引き続き問題点の改善につとめ、一刻も早い投票再開を目指す」と曖昧な見解を述べるにとどまった。
当初の予定では21日の投票で過半数を超える候補者が出ない場合は、28日に上位2人による決選投票を行い、その日のうちに候補を決める予定だった。
また、ドリア氏やヴィルジリオ氏は28日に投票を再開することを主張していたが、レイテ氏は48時間以内の投票再開にこだわっていた。だが、アプリの不具合はまだ解消しておらず、投票再開の時期も、再開が遅れた場合も当初の予定通り、28日までに最終候補を確定できるかも、現時点では未定だ。
問題のアプリはリオ・グランデ・ド・スル州連邦大学支援財団が開発したものだが、22日になっても不具合が解消しないため、同党も復旧に関する見解表明を待っている。痺れをきらしたドリア氏は22日、民間企業に問題解決を依頼するようにとの進言も行った。
混乱が続き、先行きが不透明な中、候補間の舌戦は過熱している。まず21日、ヴィルジリオ氏がレイテ氏に関して、「アエシオ・ネーヴェス氏のいいなりだ」と、14年の大統領選での同党候補でミナス・ジェライス州支部の大物との関係を批判した。ミナス州はレイテ氏にとって大きな支持基盤のひとつだ。
ヴィルジリオ氏はさらに、「アエシオ氏はPSDBの腐ったリンゴだ」と罵った。アエシオ氏は2017年のJBSショック後、収賄疑惑で逮捕される直前までなって党首停職処分を受け、党内での権威を失墜させている。
これに対してアエシオ氏が22日、ヴィルジリオ氏を「党内では無名のくせに、18年に続いて今回も党内選挙に出てきた」と皮肉り、「だが、今回の出馬の真の目的は、ドリア氏を勝たせるためのラランジャ(オレンジ。当て馬の隠語)候補だ」と嘲った。
22日にはレイテ氏がドリア氏に対し、「今回の選挙で不正行為を行っている」と糾弾する発言を行ったが、レイテ氏はその際、根拠となるものを示していない。
この行為は、2014年の大統領選で次点に終わったアエシオ氏が、勝利したジウマ氏に対し、証拠をあげずに選挙の不正を訴えた時の出来事と類似している。
だが、党内選挙で党の足並みがそろわず、候補同士がいがみあう光景を見て、一般の人たちの間でPSDBの印象が悪くならないかを懸念する声もあがっている。
ジャーナリストのリカルド・ノブラット氏は、「2002年からずっと大統領選で負け続けている上に、自党候補さえまともに選べないようではまた負ける」と厳しい評価をしている。
一方、世論調査では、保守政党ポデモスへの入党を宣言したセルジオ・モロ氏が大統領選でルーラ元大統領、ボルソナロ大統領についで10〜11%の支持で3位に入りはじめており、PSDB候補の出遅れを印象付けている。