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《サンパウロ市》黒人容疑者をバイクで連行=手錠で車体につないだままで

軍警が運転するバイクに手錠でつながれて走る青年(1日付G1サイトの記事の一部)

 サンパウロ市で11月30日午後、軍警が運転するバイクの後を、手錠でバイクにつながれた黒人青年が走りながらついていくという光景が見られ、その様子を撮影したビデオがSNSで出回ったと同日付G1サイトなどが報じた。
 ビデオが撮影されたのは市東部ヴィラ・プルデンテ区のプロフェッソール・ルイス・イナシオ・デ・アニャイア・メロ大通りで、時刻は11月30日午後3時頃だ。
 ビデオでは、黒いズボンに長袖の上着を着た黒人青年が、バイク後部に手錠でつながれたまま、バイクの速度に合わせて走っているのがわかる。
 1日の報道によると、この青年は18歳で失業中、ジョニー・イタロ・ダ・シルヴァという名前だ。青年は無免許でバイクを運転中、検問を破ったため、警察車両とバイクに追われ、同地域で救助活動を行っていた救急車にぶつかった。
 その後、バイクを乗り捨てて徒歩で逃げようとしたが、バイクで追跡していた警官に捕まった。青年は食べ物の配達員を装っていたが、背負っていたカバンには板状の大麻11枚が入っていた。

 調べによると、青年はこの大麻を同市東部のサンマテウス区まで運ぶ途中で捕まっており、うまくやりおおせた場合は報酬として1500レアルを受け取る事になっていたという。
 また、青年は軍警に連行される途中で転び、アスファルトの上を引きずられたため、全身に傷を負ったが、裁判官に警官から暴行を受けたのかと訊かれた時も報復が怖くて、「受けていない」と答えたという。
 裁判官は軍警による逮捕には正当な理由があったとして、勾留を決め、法医学研究所での身体検査などを命じた。
 青年は未成年だった昨年も強盗罪で捕まり、10カ月間少年院に収監されていたが、公選弁護人は、彼は犯行当時、理容室で髪の毛を切ろうとしていた友人を待っていただけで、犯人と共に捕まったと説明している。
 青年の弁護士は人身保護令の適用を求める意向だが、1日はまだ、拘束されたままだ。
 他方、このビデオは軍警監察局の知るところとなり、件の軍警を職務から外した上、人種差別、虐待、職権乱用などの疑いで調査する事を決めている。

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 11月30日、バイク荷台に手錠でつながれた青年が、軍警が運転するバイクに引っ張られ、車の通りの多い車道を早足で駆けていく映像がネット上で拡散され、物議を醸した。この青年は18歳で、無免許でバイクに乗り、警察の制止を振り切って走った結果、救急車にぶつかり、麻薬を詰め込んだカバンと共に逮捕されたという。青年の逮捕は妥当なものと言えそうだが、手錠でつないだままで車道を走らせるとは。青年が転倒すれば大けがにつながっていた可能性があり、この行為は虐待行為として問題となった。この軍警は停職処分となったが、改めて警察のモラルが問われるところだ。