新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が発見され、国土交通省が急きょ12月1日に新たな水際対策として日本へ到着する国際線の新規予約を12月末まで停止するよう航空会社に要請した。だが、その要請は2日に撤回された。
日本人の入国が一時的に禁止にされ、一夜にして撤回になり、帰国を予定していたブラジル在住の日本人の間にも困惑の声が上がっている。
サンパウロ市在住で自営業を営むAさんは、「毎年年末は日本での仕事があるため帰国しています。今回もそろそろ航空券を買おうかと考えていた矢先に邦人入国禁止発表。しかもそれが一夜にして撤回。状況が状況だから仕方ない部分はあるけど、こんなことじゃ帰国のタイミングが掴めませんよ…」と嘆いた。
同じくサンパウロ市在住のBさん(83歳)も困惑と焦りの声をあげる。Bさんは、5年前に日本で癌の摘出手術を行った。長年ブラジルに住んでいるが、地元札幌の病院に術後経過観察のため年に一回帰国している。だが、コロナや水際対策の影響もあり、ここ2年は帰国できない状況だという。
「癌の経過観察で早く帰国したいのに、こんな二転三転したら予定が組めませんよ。ただでさえ東京で14日間自粛の用意で大変なのに…。札幌からの迎えも遠くて難しいし、東京で自粛せざるをえない。自粛中に知人がいない地で体調が悪化したらどうしようかという不安で仕方ない。早く病院にいきたい…」と戸惑いを隠せない様子。
サンパウロ市所在の日本人向け旅行会社に勤めるCさんは、「今回の一転した件でお客様からの戸惑いの問い合わせが増えました。弊社がわかる範囲でその都度説明しますが、今回のように変わると、正直言って説明に困ります」と吐露した。
10月に事前にチケットを購入し今月一時帰国が決まっているDさん(30歳)は、「状況が状況とはいえ、日本人を入国禁止にするなんて考えもしなかった。しかも、それが一夜にしてころっと撤回…。まだ明確な致死率や詳細も判明していないのに、過剰な対策をしすぎでは?」と首を傾げた。
コロナ禍で世界中が混乱状態ではあるが、せめて自国民が祖国に帰国できる基本的権利は確保してほしいものだ。(淀)
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