ボルソナロ大統領は6日、教育プログラム「すべての人のための大学計画(Prouni)」へのアクセスを容易にするための暫定令(MP)を発表した。だが、同プログラムの本来の意義が薄れているとして、批判する声もある。6~8日付現地紙、サイトが報じている。
Prouniに関するMPは7日付の連邦政府官報に掲載された。これまでの対象者は「公立高校の卒業者もしくは授業料の全額免除を受けていた私立高校の卒業者」で、家族一人当たりの収入が最低給与(現在なら1100レアル)の1・5倍未満の場合は私立大学の授業料が100%、3倍未満の場合には50%が免除される仕組みとなっていた。
Prouniによる奨学金受給者は、国家高等教育試験(ENEM)の成績によって選抜される。何らかの障害のある人や、公立の小中学校の教員も恩恵を受けることができる。教員の場合は所得制限は適用されない。
だが、今回のMPでは、授業料の全額または一部を払っていた私立校の卒業者も対象者に加えられることになった。ただし、家族一人当たりの収入が最低賃金の3倍未満までという規定や、障害者や教員への恩恵は、継続して適用される。
また、新しい規定では、世帯所得に関するデータが連邦政府の登録システムに登録されている家庭の子弟は、所得証明を提出する必要がなくなる。
それに加え、これまでは「黒人、褐色系、先住民、障害者」などがひとつの大きなグループにまとめられていたコッタ(割り当て)が、「黒人、褐色系、先住民」と「障害者」に分けられ、対象者の自己申告に基づく各グループの人数が最小限の数を満たしている教育機関に奨学生の数が割り当てられることになった。
この変更に対し、ルーラ、ジウマ大統領の労働者党(PT)政権時代に教育相をつとめた経験もあるフェルナンド・ハダジ氏は、「これでは規定違反をしやすくし、本当に教育が必要とされる社会的弱者がないがしろにされてしまう」とし、「ボルソナロ政権の政治性を反映したものだ」として強く批判した。
Prouniは、収入や人種などによって生じる教育格差の是正を目的とし、ルーラ政権時代の2005年に作られたものだ。