【既報関連】14日、下院がプレカトリオ(裁判所が支払いを命じた賠償金など)の支払い方法の変更に関する憲法補足法案(PEC)審議を行い、上院が修正を加えた部分を承認するための1回目の投票が行った。15日には修正動議が出た部分の審議と2回目の投票が予定されており、承認されれば、社会保障プログラム「アウシリオ・ブラジル」の支給額の400レアルへの引き上げが保証され、選挙時のアピールもやりやすくなる。14、15日付現地紙、サイトが報じている。
プレカトリオのPECの下院での再審議は、上院が修正した部分に集中する形で行われた。これは、7日に行われたアルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)とロドリゴ・パシェコ上院議長(社会民主党・PSD)との会合で、上院でも承認された部分は前もって制定、発効させることが決まり、9日に発効のための本会議が行われたためだ。
上下両院で承認した部分の前倒し発効は、アウシリオ・ブラジルの支給額を12月から400レアルに引き上げるためには、一部だけでも「早く承認させる必要あり」との考えで行われた。前倒し発効部分は、歳出上限法で使用する広範囲消費者物価指数(IPCA)を、前年6月までの12カ月間ではなく、前年の1~12月の12カ月間とすることで、連邦政府が使用できる国庫の資金に622億レアルを加える内容だった。下院の予算コンサルティング(Conof)によると、アウシリオの額は649レアルになる可能性さえあるという。
14日の審議で承認されたのは、2016年に支払われたプレカトリオの金額にインフレ調整を加えた額を今後のプレカトリオの支払い上限とするというもので、来年度の国庫には438億レアルのゆとりが生じる。この金額を超えるプレカトリオは、翌年以降に繰り越される。
上院から差し戻された修正案は、必要とされる308票を上回る327票を獲得し、1回目承認を得た。反対は147票、棄権は1票だった。
14日に承認された部分が2回目の承認を得れば、9日に発効した部分と合わせて生じる連邦政府の資金のゆとりは、1061億レアル(Conofによると1085億レアル)になる。
連邦政府はPEC承認で生じるゆとりのうち、511億レアル分をアウシリオに充てたいと考えていた。だが、先週、議会に提出された文書では、この額が546億レアルに引き上げられている。
残りの資金のうち、486億レアルはインフレによる追加分や教育や保健などの部門の上限補充などに充てられる。また残りの53億レアルは、雇用者が多い業界の企業が給与支払い時に納入する各種の納付金を減免するデゾネラソンの期間が2026年まで延長されたことに伴う税収減を補うために使われる見込みだ。
14日に承認された上院からの修正部分には、「返済延期の期間を2036年から26年に短縮」「基礎教育開発基金(Fundef)はプレカトリオの歳出上限の対象にはしない」などが盛り込まれている。Fundef関連のプレカトリオは40%、30%、30%の3回に分けて支払われることになる。
15日は上院から指し戻された修正案への修正動議の審議の後、2回目の投票を行う予定だ。2度目の投票でも308票以上を獲得すれば、1061億レアルのゆとりが確定し、アウシリオの支給対象も1450万世帯から1700万世帯に増える上、平均400レアルの支給が安定して行われることになる。