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単なる抗議か組織犯罪か=サンパウロ市でバス連続放火事件=今年に入って既に33台

ニッケイ新聞 2014年1月31日

「今年に入って1日1台のペースでバスが燃やされる異常事態になっている」。ハダジサンパウロ市長はそう記者会見で訴えた。この1月はサンパウロ市内で32台もバスが放火されており、29日午前は市南部のエメ・ボイミリン地域でもバスが一台襲われ放火される事件があった。

州保安局のフェルナンド・グレラ局長は29日、この連続バス放火事件が組織的な犯罪である可能性があるとし、州として調べを進める方針を明かした。30日付エスタード紙が報じた。

市西部のジョアン13世地区を走るバスの路線の終点付近での放火事件に関してはPCC(州都第一コマンド)が関わっているのではないか、との記者団の質問に、同局長は「まだ組織犯罪だとは断定できない段階だが、単なる抗議の一環であるとも断定できない」とのべた。

この連続放火事件を受け、同地区では先週末から10のバスの路線が運行停止となっている。ある同地域の住民は「まだ明らかになっていないことが多い。様々な噂が広まって住民は恐怖を感じている」と言う。

ジャルジン・アンジェラ地区では28日、12路線を走るバスの運行が停止された。この両地区での措置により、20万人以上が先週末から影響を受けている状態だ。

29日の軍警総司令官との会議の場では同地区のパトロール強化を推奨したグレラ局長だが、この事態の中、バス会社とも対策を話し合っているという。24日の会合では複数の対策案が出て、その中のいくつかが既に実行に移されているという。しかしその詳細については明かしていない。

「(バスの連続放火事件の発生は)普通の状況ではない」とグレラ局長は危機感をあらわにした上で、原因の捜査を進めていると説明する。同局長によれば、28日から29日にかけて事件に関与したとされる16人が身柄を拘束されたが、取調べに対し多くが何も話さないため、捜査は難航しているという。

今年に入ってからバスへの放火はサンパウロ市だけでなくリオ、サンルイス、ポルト・アレグレなどでも起きている。

ジェトゥリオ・ヴァルガス財団のラファエル・アルカディパニ教授による分析(エスタード紙)

「バスが炎に包まれる姿は非常に衝撃的で、反抗心や秩序の崩壊をイメージさせる。特定の地域で起きた自然災害や人の死に対する抗議行動が理由とされる例もあるが、犯罪を犯した者が逃亡時に警官の注意をそらすため、あるいは犯罪組織が住民に恐怖感を植え付けたいために放火する例もある。バスへの放火は既に、何かの抗議行動、注意を引く、パニックを引き起こす方法の常套手段になってしまったが、忘れてはいけないのが、バスはサンパウロ市周縁部の住民の貴重な足であり、州を代表する交通機関。バスへの放火は、住民の要望を聞き入れない州政府への抗議の表れとも取れる」。