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[シリーズ] 本当に大丈夫? サッカーW杯=試合都市の交通インフラ改良の完成度はわずか25%=(3) レシフェ編

ニッケイ新聞 2014年2月5日

日本代表も試合をする北東部ペルナンブコ州レシフェ。ここでは通路やターミナル建設など5件のインフラ工事が進められているが、全ての案件で、平均1年の遅れが発生している。

開幕まで半年だった昨年12月時点で、州政府は5月15日までに完成させると明言した。全ての案件の予算は14億レ(574億円)に上っている。州は連邦政府からこの工事に対する補助金を受けており、W杯用のPAC(経済活性化計画)の一環だ。

5件のプロジェクトのうち二つが市の南北(ノルテスル)、東西(レステ・オエステ)を結ぶバス専用道路で、レシフェ大都市圏の各地をつなぐもの。ノルテスルは33キロあり、このうちの5キロ区間分(同州パウリスタ市、オリンダ市のターミナル同士を接続)が昨年11月に完成した。

W杯前に完成する見込みなのは、レシフェ市内のクルス・カブガー大通りを走り市の中心部まで行く区間のみで、後の区間は2015年前半にしか完成しないという。

レステ・オエステは12・5キロで、レシフェ市内のド・デルビ広場から、カマラジベ市のターミナルを結ぶものだ。この区間ではバス高速輸送システム(BRT)が導入される予定で、二つのターミナル、22駅、トンネルが含まれる。

他には、レシフェ市から約20キロのサンロウレンソ・ダ・マッタ市にある試合会場の「アレーナ・ぺルナンブコ」へのアクセスを改善するための周辺道路の建設だ。6・3キロの長さで、内側の区間は昨年5月に完成したが、外側の区間は今年3月の完成が見込まれている。州都市局のダニーロ・カブラル局長によれば、この外側区間の遅れは「土地の収用が遅れたこと」が理由だ。

市が連邦政府の支援を得て進めるプロジェクト「ヴィア・マンゲ」は、大規模な市南部の開発・整理計画だが、これは昨年11月半ば時点で77%まで完成している。

また市西部ヴァルゼア地区にあるメトロのコスメ・ダミアォン駅に隣接するターミナルの建設も進んでいる。同局によれば完成まではあとわずかで、屋根の設置や外側の歩道の整備などを残すだけだという。

W杯特別局のリカルド・レイトン氏によれば、まずレステ・オエステバス専用道路、スタジアム周辺の外側の道路を完成させることが先決だ。「この専用道路はメトロのカマラジベ駅までをつなぐ。そこからコスメ・ダミアォン駅までをメトロで行くか、スタジアムまでバスで直接行く方法がある。現在スタジアムに行くにはカピバリベ川の右岸を行く国道408号線を通るしかないが、周辺道路の整備で左岸を行くルートもできる」と説明する。

ペルナンブコ連邦大学の元教授で都市交通専門家のセーザル・カヴァルカンテ氏は「このバス専用道路は公共交通機関を優先するものなので、一般市民への恩恵が大きい。きちんと機能すれば新たな都市交通の形ができる」と話している。(12月11日付G1サイトより)