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あちこちで出る猛暑の影響=工業順調も農業に被害=サンパウロ州は水源確保に人工降雨=広域停電の真の理由は?

ニッケイ新聞 2014年2月8日

【既報関連】この夏は中伯~南伯では過去70年間で最高の猛暑で、少雨とあいまった水不足や電力供給不安を始め、工業や農業など、様々な分野に影響が出ている。

13年の北東伯は過去70年間で最悪の干ばつに見舞われ、この夏は南東伯が過去50年間で最悪の少雨に直面しているブラジル。現在の水力発電所のダム貯水量は昨年並みで、火力発電の長期利用を余儀なくされそうだが、猛暑と少雨は電力以外にも様々な影響を及ぼしていると6~7日付伯字紙が報じている。

猛暑がプラスに働いているのは扇風機やエアコンのメーカーで、扇風機業界トップのモンディアル・エレトロドメスチコ社は、緊急時のための在庫も出尽くし、現在受け付けている注文分は3月にしか納品出来ないと嬉しい悲鳴を上げている。同社の1月の売り上げは12年1月の倍で、例年ならそろそろ終わりとなる扇風機製造を加速させているのが現状だ。

工業用扇風機メーカーで昨年から家庭用に参入したヴェンチシウヴァも昨年1月の45%増を売り上げ、創立以来57年間で最良の1月。同社でも現在の受注分納品には30~35日かかる。

同様の状況は昨年中は前年比98%増の310万台を売り上げたエアコンメーカーが集中するマナウスのフリーゾーンでも起きており、全国の小売店も扇風機とエアコンの販売記録更新中だ。

猛暑と少雨で被害が出ているのは農業で、ミナス州とサンパウロ州中心に生産されるカフェは5日、前日比5%高の1俵340レアルに。大豆生産が全国8位のサンパウロ州では、60キロ入りで2990万袋との収量見込みが、今後の雨を見込んでも1790万袋と、大幅に下方修正された。生産量全国2位のパラナ州でも、25日間雨が降らない地域や気温が40度を超えた地域があり、1650万トンの収量予想が下方修正されるのは確実な状況だ。

一方、全国一の水源地であるカンタレイラ水系の水位低下が続くサンパウロ州では、バイア州のダムや農場などで人工的に雨を降らせた実績のあるModClimaと契約し、水位回復を図る意向だ。同社では、飲用可能な水で作った水滴を雲の中に撒くという方法で降雨を実現させており、水滴を撒くのに適した雲の発生を待っている。

なお、全国電力システム運営機構(ONS)は6日、4日の広域停電の原因は落雷だった可能性があるとの見解を発表。正式な解析結果の報告は2週間後だが、12年12月に「ブラジルの電力システムは巨大な避雷針網を持ち、放電防止対策が完備しているから、落雷による広域停電は起こり得ない」と発言したジウマ大統領は、この見解に疑問をなげかけた。

他方、専門家達は、現在の入札のあり方は発電所と電力消費地が遠くなり易く、大量の電力を地域間でやり取りするシステムに負荷がかかると分析し、投資は十分でも、計画やその運用の仕方に無理があれば、システムを脆弱化させると指摘。複数の専門家が、広域停電の可能性は需要のピークと猛暑で更に高まるとの見解を表明している。