ニッケイ新聞 2014年2月8日
サンパウロ人文科学研究所(本山省三理事長)が先月28日、文協ビル内の人文研事務所で勉強会を行った。サンパウロ大学(USP)服飾学科に通う佐竹プリシーラさん(27、三世)が『ブラジル日本移民に見る着物と日本のアイデンティティー 伝統と今』をテーマに語った。
1世紀ごろ、ポンチョのような羽織物だったといわれる着物の起源に触れ、「8世紀ごろには律令制度で、着物にも男女、身分差が生まれ、状況に応じた着分けが行われた」と説明。
西洋化が進んだ明治時代には日本文化として確立したものの、ブラジル移民は、洋服で神戸を発ったことから「着物は日本の象徴的なアイデンティティだが、移民にとってはそれほど強くないのでは。ブラジル社会に溶け込むため、着物を脱ぐ必要があったからかも」とした。
移民への聞き取り調査で、「かつては一家の誰かしらが縫えた」との証言を紹介、「1980年代までは、当地でも着物を着る習慣があった」などとも話した。