ホーム | 日系社会ニュース | 「日系社会の支援に感謝」=藤村前官房長官が挨拶に来伯=日伯交流協会の協力者訪れ=今後はアフリカ遺児支援へ

「日系社会の支援に感謝」=藤村前官房長官が挨拶に来伯=日伯交流協会の協力者訪れ=今後はアフリカ遺児支援へ

ニッケイ新聞 2014年2月12日
藤村修さん

藤村修さん

昨年10月に政界を引退した前内閣官房長官の藤村修氏(64、大阪)が10日に通算35回目の来伯を果たし、深く関わってきた社団法人「日本ブラジル交流協会」の活動を当地から支援してきた関係機関に、節目の感謝のあいさつに訪れている。新たな人生のステージを前に藤村氏は、「30数年続けてこられたのも日系社会あってこそ。改めて皆様にお礼を申し上げたい」と述べた。

藤村氏は大学在学時から「交通事故遺児育英会」の活動に参加していた。1976年に同遺児高校生の修学旅行の付き添いで初来伯した。それに加え、青年の日伯交流を進めるために社団法人「日伯交流協会」設立に参画した。

同協会は81年から「ポ語の習得」と「ブラジル理解」を2本柱に、日本の青少年に当地で研修留学するプログラムを提供してきた。08年に解散するまで約750人が制度を利用し、修了者にはサンパウロ総合大学の森幸一教授やマリチマ社(損害保険ジャパンの子会社)の奥村幹夫取締役など、架け橋的人物も多く生まれた他、マスコミ関係者も多い。

査証厳格化の問題もあって同交流協会は08年に解散し、ブラジル側の非営利団体「伯日交流協会」に生まれ変わった。藤村氏は日伯に役立つ人材を育成してきた歴史を振り返り、「人物交流史の1頁を飾ったと思う」と自負をのぞかせた。

今後は「あしなが育英会」の副会長として世界的ネットワークを強化し、アフリカのエイズ遺児支援に全力を尽くしたいという。「究極の目的は世界平和。そのためには貧困がもっとも厳しいアフリカの底上げが必要」との抱負を語った。

同育英会は元々、日本国内の交通遺児が対象だったが、徐々に範囲を広げて国内外のあらゆる遺児を対象とした支援団体となり、すでに震災やテロの遺児を支援してきた実績がある。

まずは欧州で奨学金を出す支援者を募り、欧州の大学にアフリカ遺児を派遣するモデル作りに着手する予定。欧州のモデルが完成すれば、同事業を他地域にも拡大し、その南米拠点をブラジルに置く方針だという。「中南米ではなんと言ってもブラジル。アフリカ・日本・ブラジルという三角協力も視野に入れたい」と話した。

藤村氏は24日晩までブラジリア、ベレン、クリチーバなどにある支援機関への挨拶回りをしてから帰路につく。「ブラジルは中南米の拠点。そこの日系人は大きな頼りになる。ドン・キホーテ構想だが10年一仕事と思って全力でやりたい」との意気込みを述べた。