ブラジルでは記録的な猛暑の中、南東部と南部において扇風機が史上最高の売り上げを記録している。小売業者も生産業者も、「ここまでの結果は予想していなかった」と嬉しい悲鳴を上げているが、店には扇風機を求めて列ができるも在庫がなく、消費者は文字通り手ぶらで店を後にせざるを得ない状態になっている。
業界関係者によれば、今年、この時期の扇風機の売り上げは200%も伸びている。小売大手のカレフールは扇風機やエアコンなど空気調整器具の売り上げがここ数年で最高で、同じくマガジネ・ルイザも1月の売り上げは前年同月比5倍、ハイパーマーケットのエストラは4倍、ウォールマートも220%増をそれぞれ記録している。
また、扇風機を買えなかった消費者は、値段が高いもののやむを得ずエアコンを買い求める傾向にあり、ウォールマートではエアコンの売り上げも1月に前年同月比で240%増えている。
ニュースサイト「G1」の取材班は10日、扇風機を求めてサンパウロ市南部にある五つの量販店を訪れたが、全ての店で在庫切れだったとか。主なショッピングサイトでも購入可能な商品を見つけるのは困難な状況で、ショッピングサイトのNova Pontocomによれば、2月一週目、昨年1月に単月として記録した販売ロットを既に達成したという。
ところが小売各社は在庫不足を否定、「主なメーカーの商品を毎日仕入れている」と口を揃える。しかし、例えばウォールマートではその日入荷した分は色やモデルを問わず、全てその日のうちに売切れてしまっているというのだ。
メーカーも、この消費者の扇風機〃争奪戦〃を前に、工場を昼夜フル稼働して生産に当たっている。電化製品メーカー大手モンディアル社では、1月の扇風機の売り上げが前年同月比106%増。最大限のキャパシティで生産できるよう、生産やロジスティックの体制を再編成し、多くの部門が24時間体制で稼動しているという。
カデンセ社も従業員の数を20%増やし、消費者の需要に応えるべく体制を整えている。同社のジルセウ・ブルガリ販売部長は「生産元も小売各社も、ここまでの需要増を予想しておらず、どこも準備ができていなかった。今年は毎年のこの時期の売り上げをはるかに超えている」と話している。(12日付G1サイトより)