【既報関連】連邦最高裁のジョアキン・バルボーザ長官は11日、1月の休廷中に自身が休暇を取っている際、リカルド・レヴァンドウスキー副長官が下した4件の決定を却下した。12年のメンサロン事件の際から続く両者の対立に、最高裁内の不和が懸念されている。12日付伯字紙が報じている。
バルボーザ長官が却下したもののひとつは、本紙1月31日付でも報じた、メンサロン事件で昼間外出許可(セミ・アベルト)の実刑判決を受けているジョゼ・ジルセウ元官房長官の、法律事務所での労働許可についてのものだ。
刑法裁判所は、ジルセウ氏が刑務所内で禁止されている携帯電話でのやりとりを行った疑惑があるとして、その件に関する調査に30日をあて、その間の許可申請を差し止めるという判断を下していた。だが、レヴァンドウスキー副長官は「連邦直轄区の刑務所の調査でそのような結果はなかった」として、刑法裁判所に労働許可について早く判断するように命じていた。
バルボーザ長官はこの判断を、「元官房長官の要求を手っ取り早く受け取った」とし、「法的手続きの義務をなしくずしにする恐れがある」として、当初の刑法裁判所の命令を支持した。
だが、バルボーザ長官の判断に対し、連邦検察庁のマルシア・ミリョメンス・コレア検察官は、ジルセウ氏の要求を支持する見解を示している。
また、バルボーザ長官は、副長官が承認したサンタカタリーナ州フロリアノーポリスとカサドール、サンパウロ州のサンジョゼ・ド・リオ・プレットの計3都市における都市不動産所有税(IPTU)の値上げも却下した。
2人の対立は、12年8~12月のメンサロン裁判の頃から目立ちはじめた。このときは現長官が報告官、現副長官が書記官をつとめたが、この際、被告に厳しい処罰を求める現長官が穏便な態度を示す副長官に対し何度も厳しい言葉を投げかけ、対立する姿が何度も報道されていた。
両氏はこの1月にも、メンサロン事件で実刑判決となったジョアン・パウロ・クーニャ元下院議長の刑執行をめぐっても対立している。長官は1月6日にクーニャ氏に刑の即執行を命じたが、その翌日から休暇に入ったため、下院への報告書が書けず、最終的な署名が出来なかった。長官はその後の手続きを代理のカルメン・ルシア判事と副長官に任せたが、2人ともに応じなかったために、滞在先の欧州から不満を表明していた。
この長官と副長官の対立に関し、他の最高裁判事たち3人はフォーリャ紙に匿名で見解を語っている。それによると、長官は、副長官の決定を最高裁内の投票にかけるなどして却下を避けるべきだったという。最高裁判事間の意見の食い違いによる決定の却下はきわめて稀なものだ。
だが、ジルセウ氏の件に関しては、現長官が報告官をつとめた手前、現副長官は決定を行なうべきではなかった、との意見があがっている。