ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | パスコアに卵は古い?=チョコ製オーヴォは減少中=専門店では強気の見通し

パスコアに卵は古い?=チョコ製オーヴォは減少中=専門店では強気の見通し

ニッケイ新聞 2014年2月20日

今年のパスコア(復活祭、イースター)は4月20日で、チョコレートのメーカーがパスコアに付き物のチョコレート製のオーヴォ(卵)の製造に追われる時期になってきているが、このチョコ製オーヴォの売れ行きが年々落ちている。

欧米諸国のイースターに卵は付き物で、イースター当日の朝早く、隠したゆで卵を探す光景もよく見られる。だが、ブラジルの場合、イースターエッグはもっぱらチョコ製で、イースターバニー(ウサギ)もチョコ製が当たり前だ。

ところが近年は、パスコアにはチョコ製オーヴォという通念が変化してきた。これは、チョコ製オーヴォがインフレ以上に値上がりし、庶民には手が出しにくくなってきているからだ。

チョコ製オーヴォの販売はパスコアより1カ月以上先立って始められ、スーパーの棚や天井にチョコ製オーヴォが所狭しと飾られるのはブラジルの恒例行事だ。

だが、2013年の場合、パスコア前の期間中にスーパーで売れたチョコレートに占めるチョコ製オーヴォの割合は16%と、前年の20%より低下。値上げもあって売上は前年比0・9%伸びたが、販売量は10%減ったという。これに対して売上げを伸ばしているのはチョコ製オーヴォより廉価な製品で、箱入りのボンボンは同期間中の売上げの40%を占めるに至っている。

13年のチョコ製オーヴォはキロ平均97レアルで、12年の平均価格より12・8%値上がりした。

チョコ製オーヴォは手作り的な要素が強く、輸送時も形が崩れないよう低温保存が必要など、手間もかかるため、ボンボンや板チョコより値上がりしやすい。カカオマスやカカオバター、包装紙類は、ドル高などの影響で既に10~15%値上がりし、人件費や輸送費などの値上がり分も加味されるため、インフレ以上に値上がりする傾向は今年も続き、10%程度の値上がりは不可避との見方が強い。

今年のパスコアは出費がかさむ時期から少し外れた4月の上、多くの企業が給与の一部を前払いする15日より後の20日だから、チョコ製オーヴォの売上げは多少回復と楽観視するスーパーもあるが、財布の紐を緩めるのにも限度がある庶民が、お手頃価格のボンボンなどに乗り換える傾向は続きそうだ。

他方、スーパーでの売れ行きから目を話せないネスレ、ガロット、ラクタといった主要メーカーとは違い、着実に売上げを伸ばしているのは、カカウ・ショーなど、独自の販売店も持つメーカーだ。専門店の地方進出やショッピングセンター増加などで、チョコ製オーヴォはスーパーではなく専門店でという顧客も出てきており、専門店のチョコ製オーヴォは今年も20%前後売上げを伸ばす見込みだ。

カカウ・ショー創始者のアレッシャンドレ・コスタ氏は、今年のパスコアの売上げは昨年同期比24%増の5億7千万レアルと予想。コペンハーゲンの店舗を330、ブラジル・カカウの店舗を470持つCRMグループも、新種のチョコ売出しなど、パスコア商戦に賭けている。(18日付エスタード紙より)