今年の第1四半期に、サンパウロ州の未成年者支援財団(Febem=日本の少年院に相当)から、大学や高校の入試に合格した収監者が約30人いることがわかった。24日付伯字紙が報じている。
「まさか僕が大学に入れるなんて夢にも思わなかった」と17歳のジョナス君(仮名)は語っている。ジョナス君は少年院から州立工科専門学校(Fatec)に合格した2人のうちの一人だ。
州からの情報によると、今年35万人が受験したサンパウロ州技術学校(Etec、高校課程)にサンパウロ州の少年院から127人が受験し、19人が合格していた。さらに、統合選抜システム(SISU)や、政府による奨学金制度「すべての人のための大学計画(Pro Uni)」などの受験手段で計9人が大学受験に合格している。
少年院で更生教育を受けた少年らは、その罪がいかなる場合でも、登録をすることは可能だ。だが、少年院からの受験者数が少ないのは、二つの理由がある。
ひとつは、仮に大学に入っても、大学に行く許可を裁判所から取らねばならず、通学路までは少年院の付き添いが必要となること。そしてもうひとつは、州立学校の基礎レベルのカリキュラムをひとつの教室で集団で受けねばならないため、レベルが高いとは決して言えないためだ。だが、外出許可がある学生は少年院での授業以外に学校に通って猛勉強することは可能だ。
ジョナス君は同専門学校を受験した動機付けについて、「エンジニアになれば月給が3千~4千レアルもらえると先生が言った。両親の稼ぎを足してもそんな金額にはならないからね」と語っている。
また、Etecに合格したアルトゥール君(仮名)は以前、学校に行く目的を見出せず、1年前に窃盗で捕まって少年院に入っていたが、「これから僕の新しい人生がはじまる」と大学に期待を込めていた。
高校や大学入学後、彼らが少年院から登校していることを知るのはその大学の学長や専門学校校長のみで、一般教員や学生には知らされない。
少年院から大学等に合格=サンパウロ州未成年囚から約30人
ニッケイ新聞 2014年2月25日