22日にサンパウロ市で行われたW杯開催に反対する抗議行動での軍警〃忍者部隊〃導入はブラック・ブロック孤立化と破壊行動などの減少に役立ったとされ、法務省が24日に同部隊導入に関する評価を行う意向を表明したと22~25日付エスタード紙などが報じた。
サンパウロ市での抗議行動で導入された〃忍者部隊〃は空手や柔術などの武術を体得した警官によって構成され、危険と見なした人物を包囲した後、武術を使って制圧する事で破壊行動などを回避する事を目的としている。
80~100人で構成される同部隊は警棒(カセテッテ)と盾、手錠は所持するが銃は非所持。破壊行動などを扇動するブラック・ブロックと一般の抗議行動参加者を隔離し、危険な行為に及ぶ可能性がある人物だと判断したら、武術によって相手の動きを制する。
ゴム弾や催涙ガス弾といった武器を使わず相手を制圧するという方策が最初に適用されたのが22日の抗議行動で、約1500人の抗議行動参加者中262人が身柄を拘束された。一方、破壊行動の被害に遭った施設は銀行支店2カ所、怪我人は軍警5人、抗議行動参加者2人、報道関係者1人の8人に止まった。
グレーラサンパウロ州保安局長は24日、〃忍者部隊〃導入と突撃隊やヘリコプターの支援という新方策で、負傷者や破壊行動の被害が減り、抗争の影響も最小限に抑えられたと評価した。サンパウロ市でのW杯に対する抗議行動は1月25日に次ぐもので、2回の抗議行動で身柄を拘束された人は397人に上った。拘束者数は2013年の総計374人を既に超え、市警では、秩序を乱す行為が見られると同時に該当する人物を拘束し、破壊行動を未然に防ぐという方法が功を奏したと考えている。
サンパウロ市での〃忍者部隊〃導入とその結果を知ったカルドーゾ法相は、抗議行動の自由を保障し、過激な行動を回避するための適切な行動様式採択のため、法務省や他州保安局が同方式に関する評価を行う事になるとの見解を明らかにした。
ただ、破壊行動などの暴力行為を回避しようという意識が強く出過ぎたのか、報道関係者6人が警棒で頭を殴られる、ネクタイを使って床に投げつけられるといった被害に遭い、抗議行動参加者と一緒に身柄を拘束されるという事態も発生しており、法相はそれ以上の発言を差し控えた。
全国ジャーナリスト連盟(Fenaj)やブラジル調査報道協会(Abraji)は、警官による暴力や報道関係者の活動を制限する行為に対し抗議の声を上げ、州検察局も調査に乗り出す。
国連は抗議行動への警察の介入が表現の自由を制限する事を懸念し、W杯中を含む抗議行動の実施を保証する様、連邦政府に求めている。