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リオ=誤認逮捕の黒人俳優釈放=窃盗容疑で約2週間拘留

ニッケイ新聞 2014年2月27日

 リオ地裁は25日、10日に窃盗容疑で逮捕された俳優ヴィニシウス・ロモン・デ・ソウザさん(27)について、誤認逮捕であったとして釈放を言い渡した。今回の逮捕をめぐり、黒人人権団体は「人種差別」と不満を表明している。26日付伯字紙が報じている。

 ヴィニシウスさんは10日、リオ北部のショッピングセンターでの勤務後、帰宅中に窃盗犯としての容疑をかけられ、逮捕された。近くのバス停でバッグや携帯電話、現金やカードの入った財布をひったくられた女性から「この人が犯人です」と言われたからだ。

 だが、女性がひったくりにあった時間帯は夜で犯罪にかかった時間もきわめて短く、犯人との共通点も黒人でアフロヘアであることのみと知った友人や親類は、フェイスブックやツイッターなどでヴィニシウスさんの無実を訴えるキャンペーンを行なっていた。

 また、犯行現場の防犯カメラにはバミューダ・パンツしかはいていない犯人が映し出されていたのに、逮捕当初のヴィニシウスさんはジーンズに黒いTシャツを着ていたなどの矛盾点もあった。

 さらに、被害者女性が事件の翌日、警察に人違いであることを報告しに行こうと試みたものの、金がなく断念していたことも明らかとなった。

 地裁の釈放命令は、リオ市警第25署が人身保護令適用を要請する前に出ており、ヴィニシウスさんは26日に釈放された。ヴィニシウスさんは12年のグローボ局のノヴェーラ「ラド・ア・ラド」などに出演歴のある俳優で、大学では心理学を専攻。大学は12月に卒業し、犯罪歴もない。

 この事件を受け、陸軍退役軍人でもあるヴィニシウスさんの父親は「似た条件下なら白人だって誤認逮捕されうる」と人種差別を否定したが、黒人団体の中には「単なる誤認ではなく、黒人を悪者にしようとする社会的心理が働いている」と批判するものもあった。