中部と南部の少雨、干ばつと中西部の豪雨で、14年の農牧・加工業は100億レアル相当の被害が出る見込みと2日付エスタード紙が報じた。少雨や多雨の影響は大豆やトウモロコシ、オレンジ、カフェ、肉、牛乳など広範囲に出ている。
少雨と多雨という対照的な被害を受けているのは大豆で、サンパウロ州やパラナ州では水不足と高温で減収となる一方、マット・グロッソ州(以下、麻州)では豪雨の被害が生じている。
全国第一の大豆生産量を誇る麻州では、ここ10日間で平均降水量の倍の225・9ミリの雨が降った。このため、水分を含み過ぎたり畑で腐ったりする豆が多く、収穫不能、乾燥に時間と費用がかかる、次の雨が来る前に収穫を急ぐ農家がトラックを手配出来ないなどの問題が起きている。
同州での大豆収量は当初、2690万トンで新記録達成と見られていたが、2月第3週までに収穫しそびれた大豆畑は50万ヘクタールに上り、50万トン、金額にして4億レアルの損失を被ったと見られている。
一方、全国第2位の生産州パラナも生産性が13%落ち、収量は1650万トンの当初予測に対し200万トン以上減、金額にして22億レアルの損失が出ている。同州では、50度を超す暑さとなって大豆が焼けてしまった地域もあり、サンパウロ州との境に近い地域の農家は50%の減収となる可能性がある。
ニューヨーク市場の大豆価格は米国の収穫期終了後の豊作が見込まれていたブラジルの異変で再び上昇中だが、収量減少、品質低下、物流停滞に泣く生産者は、価格上昇の恩恵を十分には受けられそうもない。
一方、トウモロコシでは生産量第1位のパラナ州の減産が見込まれるほか、ミナス州も21%減産で、1200万トン、金額にして4億レアルを損失と見られている。
年間生産量の6割を占める冬作のトウモロコシは、サンパウロ州やパラナ州は干ばつ、麻州では多雨で作付けが困難となる可能性が強く、今週の天候の動きが注目されている。
ブラジル銀行は中部と南部の干ばつで大豆とトウモロコシの収量は15%減と見ているが、大豆とトウモロコシは穀物生産全体の85%を占め、昨年の輸出額はアグロビジネス全体の30%に及ぶ290億ドル。生産農家の損失を補償するための保険の払い出し額も、当然増える事になる。
一方、動物の餌にも使用される大豆やトウモロコシの収量減は、少雨で牧草が枯れ、飲み水も不足している牧畜業にも影響。各種の肉や牛乳、卵の生産減は肉や加工品の値上がりに繋がり、2月第3週だけで卸売り価格が43%上がったオレンジや24%上がったトマトなどの農産物と共に消費者の懐を圧迫する。
ミナス州やサンパウロ州モジアナ地方の少雨はカフェ生産にも影響。今年は15~25%減収予想で、来年の収穫を左右する葉の形成も阻害されている。
サトウキビも少雨で糖度が低下し、砂糖やエタノールの生産に影響が出ている。砂糖価格の国際相場は既に19%上昇。エタノール減産は今年後半のガソリン輸入増に直結し、エネルギー政策にも影響が及ぶ見込みだ。