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「怖がらず挑戦して」=カーニバルの伝道師たち=10年以上通う2人に聞く=交流促進にビザ緩和を!

ニッケイ新聞 2014年3月4日
仲見世バルバロス(日本)でポルタバンデイラをつとめる石川さん

仲見世バルバロス(日本)でポルタバンデイラをつとめる石川さん

カーニバルに魅せられ、10年以上にわたり毎年当地に通い続け、日本では34年の歴史を誇るサンバチーム「仲見世バルバロス」の顔とも言えるポルタ・バンデイラとメステレ・サーラを務める、石川小百合さんと中島洋二さん(41)。サンバの魅力を日本に伝える〝伝道師〟2人に、その醍醐味を聞いた。

サンパウロ市カーニバルのスペシャル・グループ2日目(1日晩)、インペラドール・デ・カザ・ヴェルデのアレゴリア(山車)の上で、笑顔で踊る石川さんの姿がテレビでも放送された。

カーニバルに毎年通うようになって11年目、出場するようになって5回目だ。日本ではショーやダンス教室、衣装制作などサンバ全般を仕事にするが、この時期を当地で過ごすことが1年の励みだという。

リオには10年以上通い続け、大好きな街だが、今年は思わぬ事態に見舞われた。8日昼間、宿泊先のリオ市バランサ地区を歩いていたところ、後ろから4人組の10歳ほどの少女たちに声をかけられた。

嫌な感じがして無視して歩き続けると背後から飛び乗られ、首を絞められた。髪の毛も引っ張られるなどの暴力をふるわれ、ケガを負い、所持品も持ち去られた…。「まさか真昼間のバス停近く大勢の人が周囲にいるところを、子どもに襲われるなんて…」とショックを受けた。「日本とは比べようもないくらい治安が悪いけど、すばらしいものもたくさんある国。怖い思いをしたけど、この国とブラジル人は大好きです」と前向きだ。

ベイジャ・フロールの中島洋二さん

ベイジャ・フロールの中島洋二さん

一方、12年にブラジルのサンバ国際普及協会より日本人として初めて「伝道師」の称号を授かった中島洋二さん。当地に通うようになって18年目を数え、現在も日本の夏季は浅草カーニバル、この時期は当地を中心にした二重生活を送る。

今年はリオのアセッソ・グループ「サンタクルス」でコミソン・デ・フレンチ、エスペシャル「ベイジャ・フロール」ではアブリ・アーラとして参加した。

92年、学生時代に旅行で体験したカーニバルで「観客より、パレードに参加している人が幸せそうで、自分の居場所はあそこだ!」と思ったことが、この世界に飛び込むきっかけだった。当初は人付き合いや会話にずいぶん苦労したが、体を鍛え、ダンスレッスンに励んだ。01年には栄誉あるチームの顔、メステレ・サーラに抜擢された。18年経っても「来る度にエンターテイメントとして新しい表現を見せられるので、飽きることがない」という。

日ブラジルを行き来する人が増えたが、査証(ビザ)の問題は相変わらず。心の距離は縮んでいるが、書類の高い壁が立ちはだかる。「交流を促進するためにも、ぜひビザの緩和を」と中島さんは願っている。

「昔に比べて日本人が来てバテリア(打楽器隊)でもパシスタ(踊り子)でも飛び込む人が増え、受入れの体制も出来てきている。当地では予期していないことも起こるが、怖がらず思い切って挑戦してほしい」とコメントした。