サンパウロ州政府は6日、減少を続けるカンタレイラ水系からの取水量を10日から10%減らすことを発表し、同水系から水を供給していた地域の一部を他の貯水池からの供給に切り替えることも発表した。7日現在、同水系の貯水率は過去最低の15・8%となり、枯渇が怖れられている。7日付伯字紙が報じている。
猛暑と1、2月の少雨の影響で、大サンパウロ市圏やカンピーナス地方の1500万人(うち大サンパウロ市圏880万人)に水を供給しているカンタレイラ水系の貯水率が7日現在で15・8%に落ちている。これが仮に給水制限ということになると、サンパウロ市では北部全域、中央部、東部、西部、南部の一部、オザスコやグアルーリョスなどの大サンパウロ市圏で影響が出る。
対象地域住民の水の枯渇への不安をよそに、ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事は給水制限の可能性について否定しつづけ、3月に降ると予想されている雨に期待した。サンパウロ州水道会社(SABESP)によると3月最初の5日間で同月の平均降水量の25%の降雨を記録したが、同水系の貯水池水位は一時的にわずかにあがっただけで、再び減少に転じていた。
同知事は6日、危機緩和のため、10日からの取水量を10%削減すると発表した。同水系からの取水量は今月はじめから、従来の3万1千リットル/秒から10%減の2万7900リットル/秒に落とされており、6日の取水量も2万5500リットル/秒だった。
また、カンタレイラ水系から供給している地域の一部を、サンパウロ市極東部に供給を行なっているアウト・チエテ水系と同極南部に供給を行なっているグアラピランガ湖からの供給に切り替えることも発表した。大サンパウロ市圏の上水道システムは一部がつながっており、水源や供給区域を交換することは比較的容易だ。この措置で、東部のカロンやペーニャなど7地区、南部のジャバクアラとヴィラ・ド・エンコントロの2地区が恩恵を受ける。
この決定は国家水資源庁(ANA)とサンパウロ州水資源エネルギー局(DAEE)が先週開いたカンタレイラ対策会議後、サンパウロ州政府に薦められていたものだ。アウキミン知事は「カンタレイラ水系の取水量を厳しく管理し、他の供給システムも使えば給水制限は必要ない」と語っている。
だが、この対策ではわずか160万人しか恩恵にあずかれず、SABESP関係者もこの対策は「その場しのぎだ」と判断。給水制限を回避するためには、向こう3カ月で月間平均雨量を超える雨が降り続かなければいけないという。
専門家の多くはすぐに軽めの給水制限を行なうべきとの意見を出しているが、アウキミウン知事が給水制限に踏み切らないのは、今年が選挙年だからだと言われている。
なお、給水制限は発表されていないものの、2週間ほど前から、サンパウロ市北部ヴィラ・グスターヴォなど4地区では夕方から朝までの断水、オザスコ市では未明のみ水が来るが日中は水が出ない状態が起きているという。